アンコールワットのある州をタイが爆撃 カンボジア国防省
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【12月16日 AFP】カンボジアは15日、タイが領土内深くに攻撃を仕掛け、数百年の歴史を持つ寺院、アンコールワットがあるシェムリアップ州を爆撃したと非難した。アンコールワットは同国を代表する観光名所で、両国の国境地域で再燃した戦闘で同州が攻撃対象となるのは初めて。
両国は植民地時代に定められた約800キロの国境をめぐって対立しており、歴史的寺院の帰属問題などでの応酬が続いている。
7月にも戦闘が発生し、数十人が死亡、両国で約30万人が避難した。その後、ドナルド・トランプ米大統領の介入を受け、不安定な停戦が成立した。
当局によると、今月再燃した戦闘により、兵士や民間人を含む少なくとも31人が死亡し、約80万人が避難を余儀なくされた。
カンボジアは、タイ軍が15日にカンボジア領内「深く」攻撃を拡大したと主張。カンボジア国防省は声明で、タイの戦闘機が「シェムリアップ州スレイスナム地区の避難民キャンプ付近を爆撃した」と発表した。
この地域は、ユネスコの世界遺産に登録されているアンコール遺跡群とその主要観光名所であるアンコールワットから車で2時間未満の距離に位置している。
カンボジアのネット・ピアクトラ情報相はAFPに対し、再燃した衝突の中で「タイ軍がカンボジア領内を最も深くまで攻撃した」と述べ、国境から70キロ以上離れた係争地域外での攻撃だったと指摘した。
また、タイ軍がシェムリアップ州の地域を爆撃したのは初めてだと述べた。
この爆撃により、すでに避難していた数百世帯が避難所から逃れることを余儀なくされたという。(c)AFP/Suy Se with Thanaporn Promyamyai in Bangkok