豪ビーチ銃乱射、子どもたち救った非番のライフセーバー
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【12月15日 AFP】オーストラリア・シドニー近郊のボンダイビーチで14日に発生した銃の乱射事件現場で、逃げ惑う群衆の中から子どもたちを救出し、負傷者の治療に当たった非番のライフセーバーや、銃撃犯に立ち向かった男性の行動が称賛されている。事件では、容疑者1人を含む16人が死亡し、約40人が負傷した。
50歳の父親と24歳の息子とみられる容疑者によって引き起こされた事件は、過去30年で最も多くの死者を出した。50歳の男は警察に射殺され、息子とみられる男は負傷した後に拘束され病院に搬送された。
容疑者らが発砲を繰り返し、現場が混乱する中、砂浜を走り回って子どもたちを安全な場所へ避難させたのは、非番のライフセーバーのチームだった。
地元ライフセーバーのスティーブン・ピアスさんはAFPに「銃撃が続く中でも、チームは遊び場から子どもたちを建物内へ避難させた」と語った。
また「他のライフセーバーたちは外に出て、撃たれた被害者に心肺蘇生を試みたり、できるだけ多くの人を建物内に運び込もうとした」と現場での状況を説明した。
チームはサーフボードを担架として使い、負傷者を現場から移動させた。
また、本部に避難した人の中には妊娠中の女性もおり、その後、病院に救急搬送されたという。
ピアスさんは「サーフクラブの包帯をすべて使い切った。すべての物資を使い果たした」と話した。
■容疑者の一人を武装解除した男性
容疑者の一人を武装解除させたのは、果物店を営むアーメド・アル・アーメドさん(43)だ。
Tシャツ姿の男性が容疑者の一人に忍び寄る様子が映像で確認され、地元メディアが男性をアーメドさんと特定した。
アーメドさんは容疑者と短時間格闘し、地面に倒して武器を奪い取った。
ドナルド・トランプ米大統領は「非常に勇敢な人物が、実際に銃撃者の一人に正面から立ち向かい、多くの命を救った」と称賛した。
また現場周辺では、教会、バー、レストランが扉を開け、パニック状態で避難する人々をかくまった。
フランス人のアルバン・バトン氏(23歳)は、地元食料品店の冷蔵室で他の客と数時間隠れていた。
「ある女性が『銃を持った男がいる』と言った瞬間から、全員が走り出した。生存本能のようなもので、冷蔵室に逃げ込んだ」と当時を振り返った。(c)AFP