【12月10日 AFP】1960年代のロックバンド「ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス」の音源の権利をめぐる裁判が9日、英ロンドンの高等法院で審理に入った。

裁判では、ベースのノエル・レディングとドラムのミッチ・ミッチェルの遺産管理者が、バンドの録音が商業的に利用され続けているにもかかわらず、数十年にわたり利益を得られていないとして、ソニー・ミュージックエンタテインメントUKを提訴した。

原告側は、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスが1960年代に録音したアルバム「アー・ユー・エクスペリエンスト」「アクシス:ボールド・アズ・ラヴ」「エレクトリック・レディランド」の3作品について、著作権と演奏者の権利を主張している。

争点となっているのは、アナログレコードの時代に結ばれた契約がストリーミングなどのデジタル利用にも適用されるかという点と、バンド解散の数十年後に英国法で新たに設けられた「演奏者の権利」が未払いの支払いを求める根拠になるかという点だ。

レディングとミッチェルは2000年代に死去している。代理人が提出した文書によると、「2人はキャリアと人生を定義づけた録音からほとんど何も得られず、相対的な貧困の中で亡くなった」とされている。

原告側は、2人がプロデューサーやヘンドリックスの遺産管理者、さらに「著作権や演奏者の権利を認めず、報酬を支払わない大手多国籍企業」によって「疎外された」と主張している。

ソニー・ミュージックUK側は、1960年代の契約に基づき、音源の著作権はミュージシャンではなくプロデューサーに帰属すると主張。また、1970年代に署名されたリリース契約により、「当時またはその後に知られるいかなる手段や方法によっても」録音を利用することが許可されており、この問題はすでに数十年前に決着しているとしている。

これに対し原告側は、ストリーミングなどのデジタル利用は契約締結当時には想定されていなかったとして反論している。

裁判は12月18日に結審する予定だ。(c)AFP