【12月9日 AFP】ドナルド・トランプ米大統領は8日、欧州が「非常に悪い方向」に向かっていると警告した。トランプ氏は先週公表した「国家安全保障戦略(NSS)」で、移民問題を巡り欧州を批判したばかり。

トランプ氏は、実業家イーロン・マスク氏のX(旧ツイッター)に対して欧州連合(EU)が「意地の悪い」1億2000万ドルの罰金を科したことについて、詳しくは知らないと認めつつも批判し、さらに批判の範囲を広げた。

「いいか、欧州は非常に注意しなければならない。(彼らは)いろんなことをやっている。我々は欧州を欧州のまま保ちたいんだ」と、トランプ氏はホワイトハウスで記者団に語った。

「欧州は悪い方向へ進んでいる。人々にとって非常に悪い、とても悪い。我々は欧州にそこまで変わってほしくない。彼らは非常に悪い方向へ向かっている」

トランプ氏は先週、NSSを発表し、欧州については大量移民による人種入れ替えで「文明消滅」の危機に直面していると批判。緊密な同盟国への対応としては異例の表現で、NSSはトランプ政権が「欧州諸国において、欧州の現在の進路に対する抵抗を育む」と述べている。

トランプ氏と欧州は、ウクライナ戦争終結に向けた米国の和平案を巡っても溝を深めつつある。欧州は、米国がウクライナにロシアへの領土割譲を強いることを狙っているとの懸念を強めている。

トランプ氏の欧州に対する姿勢は、かつての盟友マスク氏のものと共鳴する。マスク氏はEUの移民問題を巡り、たびたび扇動的な主張を発信してきた。

マスク氏は、XがEUのデジタル規則違反で罰金を科されたことを受け、EUは「廃止されるべきだ」と発信。EUはマスク氏の発言を「完全に狂っている」と一蹴した。

トランプ氏は罰金について尋ねられると、「正しいとは思わない」と述べたが、「この件で助けを求める電話をイーロンから受けたわけではない」と説明し、詳細は後で確認すると付け加えた。(c)AFP