動物園のペンギンが鳥インフルの予防接種 仏パリ
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【12月6日 AFP】フランスのパリ動物園で、好奇心旺盛な一羽のカモメが、ペンギンの飼育場を悠々と歩いていた。一見無害そうだが、カモメはペンギンにとって存在そのものを脅かす危険となり得る。近年、世界中で数億羽もの鳥を死に至らしめている鳥インフルエンザの流行があるためだ。
そのため、鳥インフルエンザのシーズンが始まる12月の寒い朝、動物園では41羽のフンボルトペンギンがプールの脇に並んでいた。
シスーと呼ばれる1羽は、飼育員に優しく声をかけられる中、毎年恒例となっている鳥インフルエンザのワクチン接種を受けた。注射を終えたシスーは、よちよち歩きで自分の飼育場へ戻っていった。
この機会に約10人のスタッフたちは、ペンギンたちの身長と体重を測ったり、羽を採取したり、血液検査を行ったり、マイクロチップをチェックしたりした。
パリ東部バンセンヌ公園の中にあるパリ動物園では、これまで鳥インフルエンザの発生は確認されたことがない。
しかし、園内にはカラスやカササギ、ガチョウ、インコなどの野鳥が生息しており、もし流行すれば園内の動物にとっては壊滅的な事態となる。
仏保健当局は先週、今期の鳥インフルエンザシーズンは過去数年で最悪になる可能性があると警告している。
パリ動物園のシルビィ・レイドブール獣医師は、各種ワクチンの接種前には「リスクと利益の比率」を検討すると説明。炎症反応などの問題が起こる可能性もあり、「拘束すること自体が鳥にとって非常に大きなストレスになる」とも述べた。
園内でワクチン接種を受けるのは、屋外で飼育されている鳥や、網越しに野鳥と接触する可能性のある鳥に限られる。これにはサイチョウやハゲワシ、ダチョウ、ツルなどが含まれる。
欧州では依然として珍しい取り組みだが、フランスは2006年以来、動物園で鳥インフルエンザワクチンを接種してきた。
この取り組みは種ごとのワクチン効果を理解するのに役立っており、安全で有効であることも示されている。(c)AFP