スペイン、アフリカ豚熱の研究所流出説を排除せず
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【12月6日 AFP】スペイン政府は5日、同国に富をもたらす養豚業界を揺るがしている豚の伝染病「アフリカ豚熱(ASF)」の発生原因として、研究所からウイルスが誤って流出した可能性を排除していないと発表した。
ASFウイルスは人には感染しないが、豚に対しては感染力が強く、致死率も高い。
スペインは、発生の追跡と封じ込めを支援するため、11月28日以降13例の感染が確認されている北東部カタルーニャ自治州に数十人の兵士を派遣している。
農務省は声明で、ASFウイルスの発生源について特別調査を命じたと発表した。
マドリードの研究所は、採取されたウイルス株を解析した結果、遺伝子型が2007年にジョージアで検出されたウイルス株に「酷似している」と結論付けた。
農務省は、ジョージアで検出されたウイルス株は研究所でのワクチン試験で頻繁に使用されているとして、カタルーニャ自治州での発生は、すでにASFの感染が拡大している欧州の地域からの汚染された製品が原因ではないことを示唆していると述べた。
さらに、今回の発見は「バイオコンテインメント施設(病原体などを安全に扱うために設計された特別な研究施設)から流出した可能性を排除するものではない」と付け加えた。
カタルーニャ自治州でASFに感染したイノシシ2頭の死骸が見つかる、封じ込めゾーンに指定されたエリアの近くには、ASFウイルスを扱う研究所がある。
専門家らはこれまでスペインでのASF発生について、イノシシが汚染されたソーセージを食べたのが原因ではないかと推測していた。
カタルーニャ自治州政府の農業担当官、オスカル・オルデイグ氏は、現時点で研究所からの流出説の裏は取れておらず、「情報が不足している」と述べた。(c)AFP