【12月5日 AFP】バハラさん(35)は妊娠4か月の時、アフガニスタンの首都カブールの病院に行き、人工妊娠中絶を懇願したが、医師は「認められていない」「誰かに知られたら、私たち全員が刑務所行きになる」と答えた。

アフガンで中絶は違法で、中絶をしたり、ほう助したりすると拘禁刑を科される可能性がある。

だが、4人の娘を持つバハラさんは必死だった。5人目の娘は欲しくない夫に「解決策を見つけろ」と命じられていたからだ。

バハラさんはAFPの取材に対し、「娘たちを養うのがやっとだ」「男の子だったら、学校に通って働けたのに」と語った。

だが、2021年にイスラム主義組織タリバンが政権に復帰して以来、女性は中等教育、大学、そしてほとんどの仕事から締め出されているため、女の子が学を身に着けて仕事に就くことはできない。このため男児が好まれる傾向がますます強まっている。

そこでバハラさんは近所の人のアドバイスに従い、市場で陣痛を誘発するゼニアオイの一種から作られたハーブティーを2ドル(約310円)相当で購入した。

出血がひどく、バハラさんは再び病院に行かなければならなかった。

「(医師たちには)転んだと言ったが、体に傷がなかったのでうそをついていることがばれた。彼らは怒っていたが、私のことを通報しなかった」「手術で胎児の遺体を取り除いてもらって以来、体がひどくだるい」とバハラさん。

米カリフォルニア州立工科大学ポモナ校の民族植物学者、グアダルーペ・マルドナド・アンドラーデ氏は、バハラさんが服用した植物は「非常に危険」である可能性があると指摘。正しく服用しないと、臓器損傷や重度の出血を引き起こす可能性があるという。

バハラさんのケースは珍しいものではない。

AFPの数か月にわたる調査で話を聞けた他の2人の女性も、中絶のために命を危険にさらした。ネサさんは胎児に有毒な錠剤を服用し、マリアムさんは重い石でおなかごと押しつぶした。

AFPがひそかに中絶した件について話を聞いた12人の女性のうち、名前を伏せ匿名性を保つという条件でインタビューに応じたのはわずか5人だった。タリバン関係者以外でも、アフガンの極めて保守的な社会では、烙印を押され、逮捕されることへの恐怖が根強く残っているからだ。