ヨルダン川西岸は力こそ正義の「無法地帯」 イスラエル人入植者、執拗な嫌がらせで住民追い出す
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【12月5日 AFP】イスラエル占領下のパレスチナ自治区ヨルダン川西岸中部アルハトゥルラ地区のベドウィン(遊牧民)集落で暮らすアフメド・カアブネさん(45)は、イスラエル人入植者による執拗(しつよう)な嫌がらせで兄弟たちが追い出された時も、何世代にもわたって家族が暮らしてきた土地にとどまる決意を固めていた。
だが、自宅を見下ろす丘の上に入植者の若者たちが小屋を建て、子どもたちを脅し始めたことで、家を捨てて逃げざるを得なかったという。
ヨルダン川西岸の多くのベドウィン集落と同様、カアブネさん家族が先祖代々暮らしていた小さな集落は、今や無人となっている。
カアブネさんは、ヨルダン川西岸エリコの北の岩だらけの丘陵地帯にある仮住まいでAFPの取材に応じ、「45年間暮らした土地を離れるのは本当につらい。1日や2日、3日ではなく、ほぼ一生なのだから」「でも、どうすることもできない。彼ら(入植者)は強者で、私たちは弱者で無力だ」と語った。
イスラエルは1967年からヨルダン川西岸を占領している。2023年10月にイスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃をきっかけにパレスチナ自治区ガザ地区で紛争が勃発(ぼっぱつ)して以来、ヨルダン川西岸では入植者による暴力が激化している。
国連人道問題調整事務所(OCHA)は10月、2023年10月以降、入植者による暴力と移動制限によってパレスチナ人約3200人が家を追われたと報告した。
国連は、入植者による暴力の記録を開始した2006年以降、この10月は月間最多となったと述べた。
イスラエル当局が加害者の責任を問うことはほとんどない。