ソウル江南区のCOEXで開かれた「2025ソウル国際酒類&ワイン博覧会」で来場者がワインを試飲している(c)news1
ソウル江南区のCOEXで開かれた「2025ソウル国際酒類&ワイン博覧会」で来場者がワインを試飲している(c)news1

【12月05日 KOREA WAVE】韓国では不況が続く中、酒類消費にも「高級志向」と「コスパ志向」の二極化が顕著になっている。会食文化の衰退や「家飲み」「一人飲み」トレンドの拡大により、従来の主力だった焼酎に代わり、アルコール度数が低く家族でも楽しめるワインなどへの需要が増加している。

国家統計ポータルのデータによると、1人当たりの酒類消費量は統計が始まった1961年以降増加傾向を続け、2008年には9.5リットルでピークに達したが、2020~2021年の新型コロナウイルスの影響を受けて7.7リットルに減少。2022年には8リットルに一時回復したが、2023年には再び7.8リットルに落ち込んだ。コロナ禍による「家飲み」「一人飲み」増加が消費減少の一因とされている。

こうした中で、消費者の「コストパフォーマンス重視」の傾向は、酒類販売の現場にも表れている。大型マートやコンビニなどの販売データを見ると、2025年は焼酎やビールの売れ行きが鈍化する一方、ワインの販売は堅調に推移している。販売チャネル別では、百貨店で10万~20万ウォン(約1万610円~2万1220円)台のワイン、コンビニでは3万ウォン未満(約3183円未満)の低価格帯ワインの販売が好調で、コスパを重視する傾向が一層強まっている。

2025年1~11月の主要流通チャネルでの酒類販売動向では、大型マートのイーマートで焼酎・ビールの販売が5%減少した一方、ワインは12%増。ロッテマートではワインが20%増となった。イーマートでは11月に入ってからワイン販売が155.7%急増したという。

コンビニでも同様の傾向が見られる。セブンイレブンでは焼酎が15%、ビールが10%の増加だったのに対し、ワインは45%の大幅増。CUでは焼酎の累積販売が8.7%増だったが、11月には9.9%とほぼ横ばいで推移。ワインは年間累計で4.9%の増加だったが、11月には7.1%と大きく伸びた。

ワインの需要増に伴い、「大衆向け」と「超高級プレミアム」の二極化も進んでいる。ワイン1本の価格帯は3000ウォン(約318円)台から、最高で2億ウォン(約2122万円)を超えるものまで登場している。

例えば、ロッテ百貨店では11月だけでワイン売り上げが10%以上伸び、フランス産「ドメーヌ・アルマン・ルソー・シャンベルタン・グラン・クリュ」が4000万ウォン(約424万4000円)台で販売中だ。新世界百貨店でも年間売り上げが13.6%増、11月だけで30.3%増となっており、富裕層を中心にプレミアムワインの需要が拡大。「ドメーヌ・ルロワ・ミュジニー・グラン・クリュ2020」は2億ウォン(約2122万円)台で販売されている。

現代百貨店では、11月のワイン販売が22%増となり、1人当たりの購入単価も前年比で10%近く上昇。10万ウォン(約1万610円)前後の中価格帯ワインの販売が20%以上伸びている一方、2億6000万ウォン(約2760万6000円)台の「シャトー・ディケム・バーティカル・コレクション(1945~2015年の64本セット)」など超高級ワインも扱われている。

イーマートでは7000ウォン(約742円)台から8000万ウォン(約848万8000円)台まで幅広いラインナップを展開しており、「シャトー・ラフィット・ロートシルト・バーティカル・コレクション(1984~2019年、750mL×36本)」は7980万ウォン(約846万6780円)で販売中。ロッテマートでは「ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(750mL)」が6200万ウォン(約657万8200円)台で登場している。

コンビニ各社も、ワイン需要の高まりを受けて品ぞろえを強化。GSリテールでは缶ワイン「ウェスト・ワイルダー」が4000ウォン(約424円)台で販売される一方、「シャトー・ル・パン2014」は880万ウォン(約93万3680円)台。CUでは3000ウォン(約318円)台の「ワイン360」から、「シャトー・ムートン・ロートシルト2004マグナム」が298万ウォン(約31万6478円)で販売中。セブンイレブンでは「シャトー・ペトリュス2008」が890万ウォン(約94万4290円)台だ。

百貨店では10万~20万ウォン(約1万610円~2万1220円)台、コンビニでは3万ウォン未満(約3183円未満)のワインが売り上げを牽引し、コスパ重視の消費傾向は今後も続くとみられている。実際、GS25のオフライン店舗では、1万~3万ウォン(約1061円~3183円)台のワインが全体の75%以上を占めているという。

業界関係者は「ワインの売り上げは堅調に伸びており、消費者の酒類嗜好が大きく変化している」と述べ、「年末シーズンに向けた需要と家飲み文化の拡大が、売り上げ好調を後押しするだろう」と分析している。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News