ナイジェリアで新たに拉致3件、村人ら30人以上連れ去られる
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【12月2日 AFP】大規模な拉致事件が相次ぐナイジェリアで先週末、武装集団による襲撃・拉致事件が3件発生した。治安当局が1日、明らかにした。
AFPが確認した国連向けの治安報告書によると、北部の商業の中心地カノ州のウングワールツァミヤ村とダバワ村が「盗賊団(バンディッツ)」と呼ばれる重武装した犯罪組織に襲撃され、村人「少なくとも25人」が拉致された。同州で拉致事件が起きるのは珍しい。
また、民兵司令官ティジャニ・アハメド氏によると、「ジハード(聖戦)」遂行を主張するイスラム過激派による反乱の中心地である北東部ボルノ州では、タマネギ農家9人がイスラム過激派とみられる武装集団に拉致された。
2014年にイスラム過激派組織「ボコ・ハラム」が北東部チボクで276人の少女を拉致して以来、ナイジェリアでは武装集団による身代金目的の拉致が相次いでいる。
ここ数週間は特に急増し、児童・生徒ら数百人が連れ去られており、国連も「大規模拉致の急増」を警告している。
ドナルド・トランプ米大統領は10月下旬、ナイジェリアを「イスラム過激派」によるキリスト教徒の殺害を理由に、宗教の自由を侵害する「特に懸念される国(CPC:Country of Particular Concern)」に指定し、軍事介入を示唆した。
ナイジェリア政府と独立系安全保障アナリストは、「イスラム過激派によるキリスト教徒殺害」を否定。ナイジェリアの治安情勢について、民族や信仰する宗教など関係なく殺害されていると説明している。
■相次ぐ拉致
AFPの集計によると、11月には一連の襲撃・拉致事件では約400人が連れ去られた。うち2件の学校襲撃では児童・生徒300人以上が拉致された。
拉致事件に関しては通報されていないものも多く、正確な数字を把握するのは困難だ。
だが、ラゴスに拠点を置くセキュリティー・アドバイザリー会社SBMインテリジェンスの報告書によると、ナイジェリアでは2024年7月から2025年6月までの1年間で、拉致事件が997件発生。4722人以上が連れ去られ、762人以上が殺害された。
SBMインテリジェンスは、「(24年7月~25年6月の1年間に)ナイジェリアの身代金目的の拉致危機は、組織化された営利産業へと変貌を遂げた」と指摘している。拉致犯はおよそ25億7000万ナイラ(約2億8000万円)の身代金を手に入れたという。
バンディッツは、イデオロギーではなく金銭を動機として、国家による統制が及んでいない地域で拉致、恐喝、略奪を繰り返している。
州政府などはバンディッツとの和平交渉を試みてきた。
これに対し反対派は、こうした協定が一時の救済をもたらす一方で、バンディッツが武器を保持し続け、和平協定を結んだ地域を拠点として近隣の地域を襲撃する結果になることも多いと指摘している。(c)AFP