「1人客お断り」「2人分注文必須」…“孤食拒否”の韓国飲食店、海外メディアも注目
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【12月02日 KOREA WAVE】韓国・全羅南道麗水市のある飲食店が、1人で来店する客を事実上拒否する内容の案内文を掲示して論争を呼び、ついには海外メディアにも取り上げられた。
香港の有力英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は11月27日、この件を報じ、「韓国社会における1人世帯の増加と旧来の社会的価値観との衝突を象徴する事例」として注目した。
問題の飲食店は、国産小麦麺などを提供する麺料理専門店。店の出入り口には「1人で来たお客様への4つの選択肢」と題した文言が掲示されていた。内容は▽2人分の料金を支払う▽2人前注文してすべて食べる▽友人を呼ぶ▽次回は妻と来る――などと書かれていた。また、「当店は孤独を売っていません。1人で来ないでください」とも記されていた。
この張り紙の写真は、11月17日に来店客がオンラインに投稿し、SNSなどで10万回以上閲覧されて拡散。一部では「サービス業として客に対する礼儀を欠いている」「“孤食”と“孤独”を混同する感覚は時代錯誤だ」と非難の声が上がった。一方で「店主の営業方針も尊重すべきだ」と擁護する意見も少なくない。
韓国では近年、こうした「1人客排除」的な事例がたびたび物議を醸している。2025年7月には同じく麗水の別の店舗で、女性1人客に「女性が1人で来るものじゃない。食べるなら早く食べて帰って」と暴言を吐いたとして非難された。年初には「1人客は食事中のYouTube視聴禁止」という案内文を掲げた飲食店もあり、客への対応が問題視された。
統計庁によると、ソウルにおける1人世帯の比率は2015年の29.5%から2023年には39.3%に増加。全国的に見ても、1日1回以上を1人で食事する人の割合は42%を超えている。
米スタンフォード大学のシン・ギウク社会学教授は「韓国社会が1人暮らしや非婚人口に対して持つ文化的認識をより体系的に見直す必要がある」と指摘している。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News