所在不明となっていたルーベンスの「傑作」 5億円超で落札
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【12月1日 AFP】17世紀のフランドルの巨匠、ピーテル・パウル・ルーベンスによる長らく所在不明だった絵画作品が30日、フランスで行われたオークションで予想落札額を大きく上回る約300万ユーロ(約5億4000万円)で落札された。
作品は1613年に描かれた十字架にかけられたイエス・キリスト像で、オークションハウス代表ジャン=ピエール・オセナ氏によって発見された。オセナ氏はAFPに対し、作品は「傑作であり、才能の絶頂期に描かれたものだ」と述べていた。
同氏のオークションハウスは予想落札額が100万~200万ユーロ(約1億8000万~3億6000万円)だったところ、294万ユーロ(約5億3000万円)で落札されたとしている。
オークションハウスによると、この絵画についてはほとんど知られておらず、ルーベンスの同時代人が版画を制作したということだけがわかっているだけだという。後の歴史家たちはその版画を記録し、絵画そのものを見たことがないにもかかわらず、その存在を目録に記した。
絵は19世紀のフランスのアカデミック美術を代表する画家、ウィリアム=アドルフ・ブグローが所有し、代々受け継がれたとされている。
真贋(しんがん)は、フランドル・バロックの研究で知られるドイツの美術史家ニルス・ビュットナー氏が鑑定し、X線撮影や顔料分析などによってその由来が立証された。
ルーベンスは教会のために多くの作品を手掛けたが、この新たに発見された作品(サイズ:縦105.5センチ×横72.5センチ)は個人コレクターのために制作された可能性が高いとされる。(c)AFP