【11月29日 AFP】香港北部大埔区の高層集合住宅で発生し、百数十人が死亡した火災で、延焼に香港の典型的な竹の足場が関与したのではないかとの議論が巻き起こっている。

香港では、現代の建築や建物の修繕に竹の足場を使用する世界でも数少ない都市の一つで、この慣習は中国やアジア各地で数世紀にわたり続いてきた。一方で香港政府は、竹の足場の段階的廃止を表明している。

昨年から大規模修繕が行われていたの高層集合住宅「黄福苑」の8棟は、竹の足場と緑色の防護ネットに覆われる中、26日午後に火災に見舞われた。

政府は28日、落下した竹片が火の拡大につながったと述べ、この前日には安全上の理由から市内全域で金属の足場への移行を「迅速化することが不可欠」と発表していた。

一方で、地元住民の中には竹の足場の使用を強く擁護する声もあり、政府が責任転嫁していると批判している。

オーストラリア・クイーンズランド大学の土木工学部で火災安全を専門とする講師のアヌワル・オラビ氏はAFPに対し、「これは非常に複雑で多面的な問題」とし、「明確な答えを出すのは時期尚早だ」と強調した。

「竹、あるいは足場全体が燃えていた…唯一の要因ではないが、火災の一因である可能性は高い」と述べた。

初期捜査によれば、火災は建物の低層部の外側に設置された防護ネットから発生。鄧炳強(クリス・タン)保安局局長は「極めて可燃性の高い」発泡ボードによって急速に上部へ広がったと述べた。