【11月20日 AFP】世界保健機関(WHO)は19日、世界の女性のほぼ3人に1人が親密なパートナーや他者からの性的暴力を経験していると発表し、「人口の半分が恐怖の中で生きている限り、どの社会も公正、安全、健康とは言えない」と警告した。

WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は声明で「女性に対する暴力は、人類史上最も古く、最も広く蔓延している不正義の一つでありながら、最も対処されていない問題の一つだ」と述べた。

WHOは最新の報告書の中で、世界の約3分の1にあたる8億4000万人の女性が人生の中で、恋愛関係にある親密なパートナーからの暴力、または性的暴力を経験していると推定した。

これによると、過去1年間だけでも15歳以上の女性の11%にあたる3億1600万人が親密なパートナーから身体的、性的な暴力を受けたという

こうした暴力の減少は「痛ましいほどに遅く」、過去20年間で親密なパートナーによる暴力は年平均0.2%しか減少していないとWHOは指摘している。

今回の報告書では初めて、親密なパートナー以外による性的暴力についても国別や地域別の推計が示された。

15歳以降にパートナー以外から性的暴力を受けた女性は2億6300万人にのぼるとされ、この問題は「スティグマ(差別や偏見)や恐怖により著しく過少報告されている」と警告している。

今回の分析は、2000年から2023年にかけて168か国で収集されたデータを対象としており、WHOは「深刻に放置された危機の実態を明らかにしている」と述べた。(c)AFP