【10月24日 AFP】韓国で物流会社の事務所の冷蔵庫に入っていたチョコパイなどの菓子1050ウォン(約110円)相当を食べたとして窃盗罪に問われた下請け運送会社の運転手が、1年以上にわたる法廷闘争を続けている。

被告は昨年、事務所の冷蔵庫から韓国で大人気のチョコパイとミニカスタード菓子1050ウォン相当を食べたとして、窃盗罪で起訴された。

検察は比較的軽微な事件と判断して略式起訴したが、被告は無罪を主張し、正式裁判を請求した。

裁判所文書によると、被告は他の運転手から「冷蔵庫に菓子があるから遠慮なく食べて」と言われたと主張している。

だが、物流会社側は、おやつを与えた時を除き、運転手たちが「許可なく(事務所の)冷蔵庫を開ける」ことを認めていないと主張した。

一審は有罪判決を下し、罰金5万ウォン(約5300円)を科した。食べた菓子の価値の約50倍だ。

被告は直ちに控訴し、先月控訴審が開始された。

専門家は地元メディアに対し、被告が支払った訴訟費用は、食べた菓子の価値の約1万倍に達する可能性があると語った。

この事件は韓国で激しい抗議を引き起こし、労働組合は被告を、兄弟に食べさせるためにパンを盗んだ罪で服役したフランスの古典小説「レ・ミゼラブル」の主人公、ジャン・バルジャンになぞらえた。

この問題は今週、国会でも白熱した議論の的となった。

全州地検の申大炅(シン・デギョン)地検長は、この事件を「常識の範囲内で」再検討すると述べた。

申検事長は、今回の事件を、2020年にコンビニ店員が5900ウォン(約625円)の豚足煮込みを食べたとして起訴された事件になぞらえた。

こちらのコンビニ店員は最終的に無罪となった。(c)AFP