【10月20日 AFP】ミャンマーの軍事政権は20日、国内で最も悪名高いインターネット詐欺拠点の一つを急襲し、米宇宙開発企業スペースXが提供する衛星インターネットサービス「スターリンク」の受信機など関連機器30セットを押収したと発表した。AFPの調査では、同サービスの闇市場での使用が急増していることが明らかになっている。

新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)以降、戦闘が続くミャンマーの無法地帯と化した国境地域では、外国人を標的にしたビジネス詐欺や恋愛詐欺が横行している。

タイ、中国、ミャンマーの当局は2月から国際的な合同取り締まりに着手し、要塞化された施設で働かされていた約7000人を解放した。多くの労働者が人身売買の被害を訴えている。

しかしAFPの今月の調査によると、摘発を受けた詐欺拠点では新たな建設が急速に進み、イーロン・マスク氏が率いるスターリンクの通信機器が屋根に設置されていることが確認された。

国営メディア「グローバル・ニュー・ライト・オブ・ミャンマー」は、軍が「ミャンマーとタイの国境近くのKKパークで作戦を実施し、スターリンクの受信機など30セットを押収した」と伝えた。

同紙によると、軍部隊は現場の約200棟の建物を制圧し、およそ2200人の労働者を発見したという。

スターリンクはミャンマーでライセンスを取得しておらず、2月の大規模取り締まり以前は同国のインターネットプロバイダーの統計に入るほどの通信量はなかった。

しかし、アジア地域のインターネットレジストリ「APNIC」のデータによると、7月3日から10月1日までは通信量のランキングで連日首位となっていた。

AFPの調査後、スターリンクはコメントの要請に応じていない。

一方、衛星画像では、タイとミャンマーの国境を流れるモエイ川沿いに点在する推定27カ所の詐欺拠点で、オフィスや宿舎とみられる建物が急速に建設されている様子が確認された。(c)AFP