【10月20日 AFP】フランス・パリのルーブル美術館で19日に発生した強盗事件では、歴史的価値のある宝飾品などが盗まれた。事件の発生を受け、国の貴重な文化財をめぐるセキュリティーに人々の関心が集まっている。

電動工具を使った強盗が、どのようにして侵入し、王冠やサファイア、エメラルドの宝飾品を盗むことができたのか。また、7万3000平方メートルの広さを誇り、約3万5000点の美術品を収蔵する広大な美術館を、いかに安全に守ることができるのか。

政府によると、警備体制の見直しについては、事件発生以前からすでに開始されていたという。その一方で、労働組合はセキュリティー担当職員が削減されていたとして不満をあらわにしている。

19日の事件で浮上した問題点を見てみる。

■警備体制の問題点は数十年前から指摘されていた

ルーヴル美術館の元館長、ピエール・ローゼンバーグ氏は、1998年にフランスの巨匠カミーユ・コローの絵画が白昼堂々と盗まれた事件を受け、美術館のセキュリティが「脆弱」だと警告していた。

2021年に就任した現館長のローレンス・デ・カール氏は、パリ警察に館内の警備体制について監査を依頼した。

ラシダ・ダティ文化相が事件後に明らかにしたところによると、監査についての報告・勧告は「数週間、数か月前」にあったという。ただ、同相は「改善に向けた作業が始まったところ」とだけ述べ、それ以上の詳細には触れなかった。

AFPは美術館に取材を求めたが、返答はまだない。

文化省は声明で、犯人グループが「素早くかつ大胆に」侵入した際、「アポロン・ギャラリー」の窓に連動するアラームが作動したと述べた。

また、現場近くにいた警備員5人が「直ちにセキュリティプロトコルを実施」したことを受けて、犯人グループは逃走したとしている。負傷者はいなかったという。