2010年10月、中国江蘇省連雲港の港で希土類を含む鉱土を運搬する重機(c)Reuters/news1
2010年10月、中国江蘇省連雲港の港で希土類を含む鉱土を運搬する重機(c)Reuters/news1

【10月20日 KOREA WAVE】中国が再び希土類(レアアース)の輸出統制を強化した。半導体や電気自動車(EV)、防衛産業など幅広い分野で使用される戦略物資であるだけに、産業界では警戒感が高まっている。ただし韓国内ではすでに一定の備蓄があり、短期的な影響は限定的とみられている。

中国商務省は10月9日、希土類17種のうちジスプロシウム(Dy)、イットリウム(Y)、サマリウム(Sm)、ルテチウム(Lu)、スカンジウム(Sc)、テルビウム(Tb)、ガドリニウム(Gd)の7種を新たに輸出統制対象に追加した。

これらの物質を輸出する場合、中国商務省が発行する「二重用途物資(軍事・民生両用)」の輸出許可証が必要となる。また、これらの希土類を原料として海外で製造された永久磁石なども統制対象に含まれる。

軍事目的や大量破壊兵器への転用が懸念される場合は原則的に輸出禁止とされ、14ナノメートル以下の半導体工程や256層以上のメモリ半導体に使用される場合には個別審査の対象となる。

希土類は半導体、EV、誘導兵器などに欠かせない資源で、ジスプロシウムは電気自動車のモーターやメモリーカードに、イットリウムは戦闘機エンジンに、サマリウムは誘導兵器やレーダーに使われている。

韓国貿易協会によると、中国は世界の希土類生産の約70%、精製能力の約90%を占める。韓国の中国産希土類への輸入依存度は79.8%に達しており、供給網の不安定化が懸念される。

今回の統制は、米中間の通商交渉をにらんだ牽制策との見方が強い。中国は2020年に「輸出管理法」を施行して以来、希土類の加工・精製技術の国外流出を制限してきた。2025年に入ってからは、希土類7種の再生利用や第三国経由の迂回輸出まで封じる方向に舵を切った。

もっとも韓国産業界では、直ちに生産に支障が出ることはないとの見方が多い。産業通商資源省によれば、ジスプロシウムとイットリウムは少なくとも6カ月分以上の国家備蓄を確保済みで、主要企業も独自の在庫を保有している。

半導体業界の関係者は「希土類統制は過去にも繰り返されており、企業として多角的に備えている。すぐに影響は出ない」と説明。自動車部品業界でも「4月の統制以降も輸入は円滑に続いており、生産支障はない」としている。防衛産業でも「使用量が少なく、非中国産を採用している」と述べ、影響は限定的だ。

ただ、企業の間では、許可手続きの厳格化に伴う行政負担の増大を懸念する声もある。業界関係者は「輸出許可を得るための追加書類作成や官僚との調整が必要になり、審査期間も長引く可能性がある」と指摘した。

専門家は「今回の措置は主に米欧向けの圧力カードだが、中国が供給を政治的に利用する傾向は続くだろう」と分析している。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News