K-ビューティー三大企業に地殻変動…LG=トップ交代、愛敬=買収、アモーレ=現体制維持
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【10月20日 KOREA WAVE】韓国のビューティー業界をけん引してきた「K-ビューティー三大企業」(アモーレパシフィックグループ、LG生活健康、愛敬産業)に今、大きな変化の兆しが広がっている。代表交代、M&A(企業買収・合併)、体制維持と、それぞれ異なる戦略を選択し、業界全体が地殻変動の様相を呈している。
LG生活健康は10月1日付でトップが交代し、組織刷新を図った。新たに就任したイ・ソンジュ社長は、世界的化粧品企業ロレアルやユニリーバなどで国際戦略を手がけた経歴を持ち、特に北米市場に精通している。彼女は以前、韓国化粧品企業エルエヌピコスメティックの米国法人支社長も務めた。
LG生活健康は主力ブランド「后(フー)」をはじめ、中国市場への依存度が高く、業績の悪化が続いていた。営業利益は2022年の7111億ウォンから2023年には4870億ウォン、2024年には4590億ウォンへと減少。2025年2四半期には化粧品事業の売り上げが前年同期比で19.4%減の6046億ウォンとなり、営業損失は163億ウォンと赤字転落した。化粧品部門の赤字は実に82四半期ぶりのことだった。さらに6月には、時価総額で新興企業APRに追い抜かれる屈辱も味わった。
こうした状況を打破すべく、LG生活健康はイ・ソンジュ社長の下で「グローバルリバランシング(事業再構築)」に注力する。中国依存から脱却し、北米など海外市場の多角化を進める。米国企業「ザ・エイボン」や「ザ・クレムショップ」など過去に買収した企業との相乗効果も期待されている。
一方、愛敬産業は創業71年で初めて経営権が他者に移る。大手化学繊維企業「泰光(テグァン)産業」と投資ファンドのT2プライベートエクイティ、ユアンタインベストメントからなるコンソーシアムが9月、愛敬産業の優先交渉対象者に選定された。泰光コンソーシアムは、愛敬グループの持株会社AKホールディングスなどが保有する愛敬産業株の約63%を取得する予定だ。買収額は愛敬産業の時価総額約4300億ウォンを上回るとされる。
泰光産業は1950年に繊維事業で創業し、1990年代には石油化学分野へと事業を拡大。現在では、保険会社の興国火災(旧・双竜火災)、証券会社の興国証券(旧・フィデス証券仲介)、ケーブルテレビ事業者などを傘下に持つコングロマリットだ。今後は、愛敬産業の強みであるビューティー事業と、泰光グループが展開するホームショッピングやメディア事業との連携にも注目が集まっている。最近ではライブ配信によるコスメ販売が成長しており、その相乗効果が期待される。
泰光グループ関係者は「グループは工場運営やリブランディング(再ブランド化)に強みを持っており、今回の買収を通じて多様な相乗効果を創出する」と述べている。
これに対してアモーレパシフィックグループは、現行体制の維持を選択している。同社は「グローバルリバランシング」の成果が着実に表れており、業績回復が進んでいる。主力企業であるアモーレパシフィックは、2025年2四半期に連結売り上げ1兆50億ウォン、営業利益737億ウォンを記録。売り上げは前年同期比11.1%増、営業利益は実に1673%増という急成長を遂げた。国内外ともにバランスの取れた成長が進んでいることが明らかだ。
この好調な流れを受け、グループ内の人事や組織構造にも大きな変更は加えられていない。2026事業年度(2025年7月~2026年6月)の売上高は4兆4000億ウォンに達するとの見通しも明らかにしており、営業利益率10%以上を目標に掲げている。
韓国のビューティー業界は、中国人団体観光客のノービザ入国再開という外的要因にも後押しされ、再び活気を取り戻しつつある。各社の戦略の違いが今後どのような影響をもたらすのか、注目が集まっている。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News