【10月16日 AFP】イラン最大級のゲゼル・ヘサール刑務所で死刑囚や受刑者が同国における死刑執行数の増加に抗議し、過去2日間にわたって座り込みとハンガーストライキを行っている。ノルウェーに拠点を置く人権団体「イラン。ヒューマンライツ(IHR)」と米国に拠点を置く人権団体「人権活動家通信社(HRANA)」が15日、明らかにした。

首都テヘラン郊外カラジ市にあり、多数の絞首刑が行われていることで悪名高いゲゼル・ヘサル刑務所で行われた抗議活動のきっかけは、死刑執行を前に最大16人の死刑囚が独房に移送されたことだった。

同刑務所2号館の死刑囚たちが13日から食事を拒否し、独房前の廊下で座り込みを行い、他の棟の死刑囚らも加わったという。

IHRが刑務所内部で撮影したものとしている動画には、死刑囚・受刑者たちが座り込み、「死刑反対」などのシュプレヒコールを上げる場面が映っていた。

別の動画で、死刑囚らの家族も刑務所の門前で死刑執行の停止を求める抗議活動を行ったことが確認されている。

死刑執行数を追跡しているIHRによると、イランでは今年、1128人が絞首刑に処され、2008年の統計開始以降最多となっている。

イランの死刑執行数は、中国に次いで世界で2番目に多い。人権団体によると、中国は毎年数千件の死刑を執行しているとみられるが、正確な数字は明らかになっていない。

イランで非合法化されている反体制組織モジャーヘディーネ・ハルグ(イスラム人民戦士機構、MEK)の政治部門「イラン国民抵抗評議会(NCRI)」は、この抗議行動には死刑囚ら1500人が関与したと発表した。

矯正当局は死刑囚らの代表者と面会し、ハンガーストライキの中止を求めたが、死刑囚・受刑者側は要求が満たされるまでハンガーストライキを継続すると主張している。

■「絞首台の悪夢」

IHRによると、独房に移送された死刑囚のうち2人は雑居房に戻されたが、残りの死刑囚は依然として処刑の差し迫った脅威にさらされている。

ソーシャルメディアで拡散されている死刑囚名義の声明には、「私たちは、この抑圧と、死刑囚や若者の命を奪う行為に我慢の限界を迎えている。毎日、私たちは毎週、同じ死刑囚が絞首台に送られるのを目にし、多くの死刑囚が死と絞首台の悪夢に悩まされながら夜を過ごしている」と記されている。

イラン国内では、ファルス通信が、「極めて凶悪な武装強盗」である死刑囚の刑執行に抗議する刑務所内の抗議活動の動画を「反革命」メディアが流したと報じた。

司法府の公式ニュースサイト「ミザン・オンライン」は、これらの死刑囚は「法的手続きの完了後」に処刑済みで、ビデオは「イランの刑務所を中傷し、虚偽の主張を広める」キャンペーンの一環だと報じた。(c)AFP