米上院議員、ボンディ司法長官を厳しく追及 トランプ氏の政敵起訴めぐり
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【10月8日 AFP】パム・ボンディ米司法長官は7日、司法省をドナルド・トランプ大統領の「敵」と見なされる人物を標的にする道具に変えたとして、上院議員らから厳しく追及された。
ボンディ氏は就任以来、司法省とホワイトハウスの境界を維持できていないと批判され、大きな論争を巻き起こしてきた。
上院司法委員会の民主党トップ、ディック・ダービン議員(イリノイ州選出)は痛烈な冒頭演説で、「(ジョー・)バイデン前大統領は司法長官に対し、政敵を起訴するよう指示したことは一度もない。2025年1月20日以降に起きたことは、(ウォーターゲート事件への関与により辞任したリチャード・)ニクソン元大統領でさえ後ずさりするだろう」と批判。
ボンディ氏の下で司法省は「大統領とその政治的盟友が不正行為を行った際に、彼らの盾となっている」と述べた。
トランプ氏は2024年大統領選の運動中、政敵を追及すると繰り返し警告しており、最近のソーシャルメディア投稿では「パム」という人物が行動していないと叱責(しっせき)した。ボンディ氏のことを指したものとみられている。
その直後、連邦検察は、2016年大統領選におけるロシアの介入をめぐる捜査を主導した連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー元長官を起訴し、米政界に衝撃を与えた。
これまでトランプ氏を公然と批判してきたカリフォルニア州選出のアダム・シフ上院議員(民主党)、ジョン・ボルトン元大統領補佐官(国家安全保障問題担当)、ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官(民主党)に対する捜査開始も、この論争に拍車をかけている。
3人はいずれも、ボンディ氏を叱責したとみられるトランプ氏の投稿で名前を挙げられていた。
デラウェア州選出のクリス・クーンズ上院議員(民主党)は、トランプ氏が投稿で、「特定の人物を名指しして訴追・起訴するよう促したことが、司法省による劇的かつ突発的な行動につながったようだ」と述べ、「深刻な懸念」を表明した。
ボンディ氏は自身の行動を正当化。上院議員らに対し、司法省を武器化したのはバイデン前政権の方であり、国民の信頼を回復するために尽力していると述べた。
トランプ氏は当選によって法的問題が消える前、機密文書の隠蔽(いんぺい)と2020年大統領選の結果を覆そうとする犯罪的陰謀を主導したとして複数の起訴に直面していた。
共和党は、2件の起訴を主導したバイデン前政権下の司法省は、ボンディ氏率いる現司法省よりも司法の武器化に関して多くの問題点を抱えていると指摘している。
上院司法委員会のチャック・グラスリー委員長(共和党)は公聴会前夜、ジャック・スミス特別検察官がトランプ氏を捜査する中で、共和党上院議員8人の通話記録を秘密裏に収集していたことを示すFBI文書を公開した。
グラスリー氏がこの問題を提起すると、ボンディ氏は「政府の武器化とはまさにこのことだ。われわれがこの武器化を終わらせる」と述べた。(c)AFP