ベネズエラが防災訓練実施へ、米軍の侵攻恐れ警戒強める
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【9月27日 AFP】ベネズエラは、沖合で米軍が展開して侵略の恐れに警戒を強める中、27日に防災訓練を実施することになった。また、ニコラス・マドゥロ大統領は非常権限の発動を検討している。
マドゥロ氏は25日、米軍によるベネズエラの麻薬密輸船とされる船への攻撃で多数の死者が出てすでに国民が不安を募らせている中、複数回の地震が発生した数時間後に訓練を呼びかけた。
ドナルド・トランプ米大統領は麻薬対策作戦の一環として、軍艦8隻と潜水艦1隻をカリブ海南部に派遣。ここ数週間で、ベネズエラの麻薬密輸船とみられる少なくとも3隻を撃沈し、十数人を殺害している。
米NBCの報道によると、米軍は現在、ベネズエラ国内の麻薬密輸組織を標的とする作戦案を検討しており、関係者4人の証言によれば、攻撃は「数週間以内」に実施される可能性があるものの、トランプ氏はまだ承認していないという。
トランプ氏は、マドゥロ氏を麻薬カルテルの首領と非難している。一方でマドゥロ氏は、米国側が体制転換を狙っていると疑いの目を向けている。
緊張を高めるように、ベネズエラ西部では24日と25日に地震が発生。最も強い地震はマグニチュード6.3を記録したが、大きな被害や死傷者は出なかった。
マドゥロ氏は米国の「脅威」に言及した上で、27日朝から「自然災害や武力衝突への国民の備え」を試す訓練を実施すると発表した。学校や病院も「いかなる状況にも備えるため」に参加するとしている。
23日にマドゥロ氏は、「国土全域における外的騒乱状態の宣言に関する法令」と記された赤いファイルを持って国営テレビに登場した。
ベネズエラ憲法では、「国家、国民、またはその機関の安全を深刻に脅かす外部紛争」が発生した場合、同様の法令を発令することが認められており、議会を通さずに政府が非常権限を行使することや、憲法上の保障の停止、軍の展開などが可能となる。
マドゥロ氏は「あらゆる事態に備えて重要な法令を準備している」と述べている。(c)AFP