ナチス・ドイツの不発弾、海洋生物の楽園に
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【9月26日 AFP】ドイツの湾の底に沈むナチス時代の不発弾の表面で、海洋生物が繁栄していることが、無人潜水艇による調査で明らかになった。TNT火薬の巨大な塊の上をヒトデが這う映像まで捉えられた。
学術誌「コミュニケーションズ・アース・アンド・エンバイロンメント」に25日発表された研究で明らかになったこの発見は、「稀有だが驚くべき発見の瞬間の一つ」だと、ドイツのカール・フォン・オシエツキー大学の海洋生物学者で、この研究論文の筆頭著者であるアンドレイ・ベデニン氏はAFPに語った。
ドイツ沿岸の海域には、両大戦で不発弾160トンが残されたと推定されている。
昨年10月、ドイツの研究チームはバルト海のリューベック湾にある、これまで未踏だった投棄場を訪れ、無人潜水艇を海底20メートルまで潜航させた。
潜水艇からの映像にナチス時代の巡航ミサイル10発が映し出されると、研究チームは驚いた。そして、その表面を覆う生物たちを見て、さらに衝撃を受けた。
研究チームは、不発弾の表面には1平方メートルあたり約4万匹の生物(主にマリンワーム)が生息していたという。
また、カニ、イソギンチャク、ヒドロ虫、そしてたくさんのヒトデもいた。
生物たちは巡航ミサイルの硬い外殻を覆っていたが、1種類の生物を除いて黄色いTNT火薬は避けていた。
研究チームは、40匹以上のヒトデが露出したTNT火薬の塊に積み重なっているのを見て困惑した。
「本当に奇妙に見えた」とベデニン氏は述べた。
ヒトデがそこにいた正確な理由は不明だが、ベデニン氏は、ヒトデが腐食するTNT火薬に付着したバクテリアの膜を食べているのではないかと推測した。
ベデニン氏は、これらの「本来あらゆる生物を死滅させるはずのものが、今やこれほど多くの生命を引き寄せている」という発見は「皮肉めいている」と述べ、チョルノービリ(チェルノブイリ)原発事故現場近くの、人間が放棄した放射能汚染地域で、シカなどが繁栄している様子になぞらえた。(c)AFP