イスラエル人脚本家、文化的ボイコットが「政府批判の声弱める」
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【9月17日 AFP】イスラエルの著名なテレビ脚本家ハガイ・レヴィ氏(62)は、パレスチナ自治区ガザ地区での戦争の影響で、多くのアーティストがイスラエルを離れたいと考えているとAFPのインタビューで述べた。こうした考えの背景には、自国に対する文化的ボイコット拡大への不安があるという。
「ある結婚の風景」、「アフェア」シリーズ、「イン・トリートメント」シリーズなどのヒット作を手掛けたレヴィ氏は、イスラエルによるガザ包囲を批判する一人で、この問題に対する国際社会からの怒りも理解している。
しかし、イスラエルに対するボイコットを呼びかける声が、かえってベンヤミン・ネタニヤフ首相に対する国内の批判の声を弱めてしまう恐れがあるのではと不安に感じている。イスラエルの政治家は過去に、レヴィ氏を批判の対象にしてきた。
「周りの人たちは皆、イスラエルを離れる可能性について話している」と、今月開催されたベネチア国際映画祭でAFPに語った。
「離れるのは本当に難しい。人々は『仕事は見つかるのか?友達はできるのか?家族は見つかるのか?』と自問する」と言い、それでも今後数年で「多くの人」が移住すると予想していると付け加えた。
ベネチア映画祭では、独立系のイタリア人映画製作者たちが、イスラエル軍を過去に支持した俳優のジェラルド・バトラーとガル・ガドットの招待を取り消すよう主催者に呼びかけた。
また、エマ・ストーン、ホアキン・フェニックス、オリヴィア・コールマンを含む数千人の映画関係者が、政府が支援するイスラエルの機関との関係を断つ誓約書に署名している。
レヴィ氏は、子どもたち、母親、姉妹が暮らすテルアビブに住居を構えているが、ほとんどの時間を欧州やハリウッドで過ごし、そこで他のイスラエル作品や俳優の活動を支援している。
イスラエル政府を支持する関係者については「何が起きているのかを知りながら(政府を)支持し、それに責任が伴わないと考えるのは無理がある」と指摘する。
「しかし、イスラエルの芸術コミュニティの90%は戦っている。彼らは街頭に出ており、予算がなく、言論の自由が少ないために苦しんでいる。映画であれ、アートであれ、音楽であれ」とし、「彼らは苦しんでおり、彼らをボイコットすることは実際には彼らを弱体化させている」と強調。ガザでの作戦を続ける政府とは明確な区別が必要だと述べた。
ボイコット運動の主催者は、1960年代の南アフリカのアパルトヘイト時代に、南アでの公演や白人至上主義政府との関係を拒んだアーティストたちからインスピレーションを得ているという。