ベネチア映画祭、ジャームッシュ監督作品が最高賞
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【9月7日 AFP】第82回ベネチア国際映画祭で6日、米映画監督ジム・ジャームッシュ氏(72)の『Father Mother Sister Brother(原題)』がコンペティション部門で金獅子賞を獲得した。銀獅子賞(審査員大賞)は、パレスチナ自治区ガザ地区での戦争の悲劇を描いた『The Voice of Hind Rajab(原題)』だった。
『Father Mother Sister Brother』は、米国、アイルランド、フランスの3家族をそれぞれ描いたオムニバス形式の作品で、監督は「派手なアクションとは無縁の作品」と称した。
ケイト・ブランシェット、アダム・ドライバー、トム・ウェイツが出演し、ぎこちなさと罪悪感をユーモラスに描いた作品には好意的なレビューが集まった。
米誌「バラエティ」は、ジャームッシュ監督の作品について「トレードマークでもある皮肉なユーモアに加え、新たに穏やかで寛大な知恵の響きがある」と評した。
授賞式でのスピーチで、ジャームッシュ監督は「私たちの静かな作品を評価してくれてありがとう」と述べた。
銀獅子賞は、カウテール・ベン・ハニア監督の『The Voice of Hind Rajab』。昨年、イスラエル軍に殺された5歳のパレスチナ人少女を描き、上映会では多くの観客の涙を誘った。
作品では、ガザ市から逃れる途中に車内に閉じ込められ、銃撃を受けたヒンド・ラジャブ・ハマダちゃんの苦難を描いた。
今年のベネチアで最も大きな話題を呼んだ作品で、先週のプレミア上映会では23分間のスタンディングオベーションを受け、多くの人が最有力候補と見なしていた。
授賞式でのスピーチでハニア監督は「ヒンド・ラジャブの物語は彼女だけのものではない」とし、「それは悲劇的に、犯罪的なイスラエル政権によって処罰を受けることなく行われるジェノサイドに耐える全民族の物語です」と述べた。
ジャームッシュ監督も「もう十分だ」と記されたバッジを着けて授賞式に臨み、イスラエルによるガザ包囲と爆撃に反対の意思を示した。(c)AFP