巨大氷山「A23a」 とうとう消滅か 40年前に南極から分離
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【9月3日 AFP】約40年前に南極の棚氷から分離した、世界最大級かつ記録上最も古い氷山の一つ「A23a」が、暖かい海域で崩壊し始めており、数週間以内に消滅する可能性が出てきた。
今年初めの時点で、A23aは約1兆トン弱の重さがあり、英大都市圏グレーター・ロンドンの2倍以上の面積を誇っていた。3月には南大西洋の英領サウスジョージア島への座礁と、そこに生息する野生動物への深刻な影響が一時懸念された。
EUの地球観測機関「コペルニクス」の衛星画像をAFPが分析したところ、現在は当初の半分以下の大きさになったものの、依然として1770平方キロの面積を持ち、最も幅広い部分は60キロに達する。
ここ数週間で、400平方キロ規模の巨大な塊が複数分離した。周囲には船舶に危険を及ぼす可能性のある氷塊も数多く浮かんでいる。
英南極調査所の物理海洋学者アンドリュー・メイジャーズ氏はAFPに「北に漂流するにつれて、かなり劇的に崩壊している」と語った。
さらに「もうすぐ消滅するだろう。底面はすでに崩れており、水温が高すぎて維持できない。常に溶け続けている」とし、「今後しばらくはこの状態が続き、数週間以内には識別できなくなるだろう」と説明した。
A23aは1986年に南極棚から分離したが、その後ウェッデル海で30年以上とどまっていた。2020年に移動を開始し、南極周極流によって南大西洋へ運ばれた。
衛星画像の分析によると、最近は移動速度が上がり、1日に最大で20キロ進むこともあった。より暖かい海水と大きな波にさらされ、急速に崩壊が進んでいる。
科学者たちは、この氷山がこれほど長く持ちこたえたことに「驚いた」とメイジャーズ氏は述べ、「ほとんどの氷山はここまで到達しない。この氷山は非常に大きかったため、他よりも長く持ち、遠くまで移動した」と続けた。
氷山の分離は自然な現象だが、科学者たちは、南極から失われる氷山の速度が上がっているのは、人為的な気候変動の影響とみられると指摘している。(c)AFP