配信メディアに「イスラエル軍関係の投資」 ジャームッシュ監督、失望
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【9月1日 AFP】米国の映画監督、ジム・ジャームッシュ氏(72)は8月31日、アートハウス映画やインディペンデント作品を配信するプラットフォーム「Mubi」が、イスラエル軍と関係のあるベンチャーキャピタルからの投資を受け入れたことに「失望した」と述べた。
動画配信大手「Netflix」のライバルであるMubiは、ジャームッシュ監督の最新作『Father Mother Sister Brother(原題)』の配信メディアの一つ。同作品は31日にベネチア国際映画祭でプレミア上映された。
グループはシリコンバレーのベンチャーキャピタル「セコイア・キャピタル」から1億ドル(約147億円)を受け入れたが、同社の投資先にイスラエル防衛企業「KELA」が含まれていたことから、ジャームッシュ氏や他の映画関係者らが抗議の嘆願書に署名した。
ジャームッシュ氏は記者団に対し、「私とMubiとの関係はそれ以前から始まっており、この映画での仕事は素晴らしかった」とした上で、「もちろん、この関係には失望し、非常に困惑した」と述べた。
また、独立系映画製作者であっても、望ましくない資金源から資金を受け取らざるを得ない場合があるとし、「ほとんどすべての企業のお金は汚いお金だと考えている。これらの映画会社とその資金構造を分析し始めると、多くの汚い事実が見つかるだろう」と語った。
この問題について、Mubiの創設者兼CEOエフェ・チャカレル氏は、セコイアが少数株主であることを強調し、Mubiは「ガザで起きている出来事の共犯者ではない」と主張している。
ジャームッシュ氏は、ドナルド・トランプ政権下の米国から離れるため、フランスでの長期滞在ビザを申請している。パリはすでに「第二の場所」であるとし、「今、フランスでアーティストビザを申請中だ。そしてフランスで新しい映画を撮るつもりだ」と話している。
米国のエンターテインメント業界では、トランプ政権を嫌って自国を離れる人が複数おり、英ロンドンに移住したエレン・デジェネレスや、アイルランドに家を構えたロージー・オドネルもその一例となっている。(c)AFP