チクングニア熱ワクチン、米でライセンス停止「深刻な副反応の症例」
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【8月25日 AFP】米国の保健当局は「深刻な副反応の症例」について報告を受け、チクングニア熱予防ワクチン「Ixchiq」のライセンスを停止した。同ワクチンのフランス製造元バルネバが25日、発表した。
Ixchiqは、米食品医薬品局(FDA)が承認した二つのチクングニア熱ワクチンのうちの一つ。チクングニア熱は、主に熱帯および亜熱帯地域で発生する疾患だが、最近では世界各国でも発生が確認されている。
仏バルネバは2023年に米国での承認を取得したが、副反応の報告を受け、特に高齢者での使用をめぐり、欧州医薬品庁(EMA)などで確認が進められている。
バルネバは声明で、「ライセンスの停止は即時有効」と説明。70~82歳の3人を含む重篤な副反応の症例4件が報告されたとした。
公衆衛生の専門家は、気候変動によりチクングニア熱を媒介する蚊が新しい地域に広がることで、将来的にパンデミックの脅威となる可能性があると指摘している。症状はデング熱やジカ熱と似ており、高熱や関節痛が特徴で、重症化する場合もあるが、死亡例はまれ。ただし乳児や高齢者は死亡リスクが高まる。
世界保健機関(WHO)は7月、大規模なチクングニア熱流行のリスクを警告し、緊急対応を呼びかけた。同機関によると、20年前にインド洋地域を横断して世界中に広がり、約50万人に影響を与えた大規模流行と同様の初期警告サインが確認されているという。
欧州では今年、すでに27件のチクングニア熱の流行が確認され、欧州疾病予防管理センター(ECDC)が今月発表したところによると、これは欧州地域での記録的数字となる。(c)AFP