【8月8日 AFP】オランダの反差別ホットラインは7日、極右「自由党(PVV)」のヘルト・ウィルダース党首のSNS投稿について過去2番目となる2500件以上の苦情を受けたと発表した。

ウィルダース氏は今週、「PVV」とキャプションを付けた金髪で白い肌に青い瞳の若い女性と、「PvdA(左派の労働党)」とキャプションを付けたヒジャブを身に着け、険しい表情をする老女を並べた画像を投稿した。

10月に行われる総選挙に言及し、「10月29日、選択はあなた次第」とコメントを添えた。

反差別ホットライン「Discriminatie.nl」の広報担当者はオランダ通信(ANP)に対し、この画像は「分断を招き、汚名を着せ、差別的」であり、「イスラム教徒を悪く見せる」意図があることは明らかだと述べた。

広報担当者は、ホットラインに寄せられた苦情やコメントは「社会からの明確なメッセージ」だと指摘。「下品」「悪意に満ちている」「人種差別的」といった苦情が寄せられたという。

ウィルダース氏の投稿への苦情件数は、2020年の新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)中に起きた「予防は中国よりマシだ」という曲に対する4000件に次ぐ過去2番目の多さとされる。

同ホットラインは、正式な告訴を含め、今後の対応を検討しているが、まだ決定していない。

ホットラインは声明で、「これら二つの女性の画像を対比させることで、『私たち対彼女たち』という物語が語られている。これはオランダが目指す包摂的な社会とは相いれない」と指摘。

「このような像は偏見を強め、集団間の溝を広げる可能性がある」「(政治は激しいものかもしれないが)憎悪、排除、差別をあおってはならない」と続けた。

長年反イスラム教を掲げて選挙活動を展開してきたウィルダース氏は7日、その姿勢を強めた。

Xへの投稿で、「オランダ人ファースト。イスラム教はオランダにふさわしくない。犯罪外国人は国外追放せよ。私たちの娘たち(若いオランダ人女性たち)が再び安全に街を歩けるようにしなければならない」と記した。

ウィルダース氏率いる自由党は6月、移民問題をめぐる対立から脆弱(ぜいじゃく)な4党連立政権を離脱。オランダ政界に衝撃を与えた。

総選挙は10月29日に予定されており、ウィルダース氏は衝撃的な勝利を収め、自由党が第1党となった前回総選挙の再現を期待している。(c)AFP