【7月17日 AFP】シリアの暫定政権は16日、イスラエルによる首都ダマスカスへの空爆と米国からの要請を受け、ドルーズ派住民が多数を占める南部スウェイダ県から軍が撤退を開始したと発表した。

イスラエルと緊密な関係にあり、シリアとの関係を再構築しようとしている米国は、同地域の平穏を取り戻すための合意に達したとし、「すべての当事者が約束を果たすこと」を求めた。

シリア暫定政権は、スウェイダでの軍事作戦の停止を発表。英国に拠点を置くNGO「シリア人権監視団」は、13日以降の衝突により、暫定政府軍、地元の戦闘員、そして「即決処刑」されたドルーズ派住民27人を含む、350人以上の死者が出たと発表している。

シリア国防省は声明で、「違法グループの掃討が終了し、採択された合意の条件に従って、シリア軍はスウェイダからの撤退を開始した」と発表した。

しかし、その停戦はほとんど効果がない様子で、暫定政府軍がベドウィン(遊牧民)とともに、ドルーズ派の戦闘員や住民を攻撃していると目撃者が報告。スウェイダのAFP特派員も、発表後に市内で銃声を聞いたとリポートしている。

今週初めにドルーズ派防衛のためスウェイダで空爆を行ったイスラエルはこの日、ダマスカスに対する攻撃を開始した。AFPの画像では、攻撃後に煙が立ち込める中で、国防省複合施設の建物の側面が破壊されている様子が示された。

イスラエルは、自国のドルーズ派コミュニティーを保護する立場を取っているが、一部の分析家は、これはシリアの暫定政府軍を国境から遠ざけるという、軍事目標のための口実だと指摘している。

イスラエル側は大統領府地域にある「軍事目標」も攻撃したと発表している。

シリア内務省の情報筋は、ダマスカス郊外の「メッゼ(軍事)空港の近隣」での攻撃も報告している。同国保健省によると、ダマスカスへの攻撃で少なくとも3人が死亡、34人が負傷した。(c)AFP/Acil Tabbara with Bakr Alkasem in Sweida and Delphine Matthieussent in Jerusalem