ヨルダン川西岸の避難民、1967年以来最多「大部分からパレスチナ人いなくなった」 国連
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【7月16日 AFP】国連は15日、イスラエル占領下のパレスチナ自治区ヨルダン川西岸における避難民の数が、占領開始以来約60年ぶりの高水準に達していると警告した。
1月にヨルダン川北部で開始されたイスラエル軍の「アイアンウォール(鉄の壁)」作戦により、数万人が避難を強いられており、「民族浄化」に当たる可能性が懸念されているという。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のジュリエット・トーマ報道官は、この軍事作戦は「2000年代初頭の第2次インティファーダ(反イスラエル闘争)以来、最長だ」と述べた。
トーマ報道官はヨルダンからリモートでスイス・ジュネーブで記者会見し、イスラエルが6日間で圧勝し、ヨルダン川西岸の占領につながった第3次中東戦争に言及し、「軍事作戦はヨルダン川西岸にある複数の避難民キャンプに影響を与えており、ヨルダン川西岸におけるパレスチナ人の強制移住としては1967年以来最大規模となっている」と述べた。
一方、国連人権高等弁務官事務所は、占領軍による大規模な強制移住は「民族浄化」に当たる可能性があると警告した。
人権高等弁務官事務所のタミーン・アル・キータン報道官は、イスラエル軍が1月に「アイアンウォール」作戦を開始して以来、「パレスチナ人約3万人が強制移住させられている」と述べた。
同報道官は、イスラエル治安部隊が同時期にヨルダン川西岸北部で住宅約1400軒の破壊命令を出しており、「憂慮すべき」数字だと述べた。
また、2023年10月以降、イスラエルによる破壊行為でヨルダン川西岸全域でパレスチナ人2907人が強制移住させられたとも指摘。
さらに、イスラエル人入植者による行動の結果、パレスチナ人2400人(その半数近くが子ども)が強制移住させられたと付け加え、これらが相まって「ヨルダン川西岸の大部分からパレスチナ人がいなくなった」と嘆いた。
キータン報道官は、「占領地内で民間人を恒久的に強制移住させることは、違法な移送に等しい」と述べ、状況によっては「民族浄化に等しい」、さらには「人道に対する罪に等しい」可能性があると強調した。
ヨルダン川西岸では今年上半期、イスラエル人入植者による攻撃が757件確認されており、前年同期比で13%増加した。
こうした攻撃により6月だけでもパレスチナ人96人が負傷し、月間負傷者数としては過去20年以上で最多となったという。(c)AFP