【7月15日 AFP】シリア南部で先週末以降、イスラム教の少数派ドルーズ派の武装勢力とベドウィン(遊牧民)の間で衝突が発生し、これまでに99人が死亡した。暫定政権は14日、衝突の鎮圧に向けて南部スウェイダ県に部隊を投入した。また、ドルーズの武装グループの一つは、停戦を仲介するため当局との交渉が進行中だとしている。

英国に拠点を置くNGO「シリア人権監視団」によると、死亡した99人の内訳は、ドルーズ派60人(民間人4人を含む)、ベドウィン戦闘員18人、治安部隊員14人、軍服を着た身元不明の7人だという。

衝突が激化する中、ドルーズ派を保護するためにシリアへ介入すると以前から警告していたイスラエルは、ダマスカスへの「警告」として「複数の戦車」を攻撃したと発表した。

AFP特派員は14日、シリア軍がドルーズ派の村アル・マズラアを制圧する様子を目撃した。この村には、ベドウィン戦闘員も展開していた。

暫定政権軍のエゼディン・アル・シャマイヤー司令官はAFPに対し、部隊が「スウェイダ市に向かっている」と語った。内務省も「軍と内部治安部隊がスウェイダ県の中心に近づいている」とする声明を発表した。

スウェイダ最大のドルーズ派勢力の一つはAFPに対し、「スウェイダ市の名士と一般治安部隊および国防省の代表者との間で解決に向けた話し合いが進んでいる」と述べた。

ドルーズ派の宗教当局は14日夜、シリア中央政府に敵対する立場ではないとしつつ、地域での停戦を呼びかけた。

しかし、スウェイダにいるドルーズ派の三大精神的指導者の一人は、「一般治安部隊の県内進入を拒否する」と表明し、「国際的な保護」を求めた。

一方、イスラエルは同日、スウェイダに向かう複数の戦車を攻撃したことを明らかにした。イスラエルにもドルーズ派のコミュニティーがあり、これまでも同派を守る目的でシリアを攻撃してきた経緯がある。

イスラエルのイスラエル・カッツ国防相はX(旧ツイッター)に「これはシリア政権への明確な警告だ。われわれはシリアのドルーズ派に危害が加えられることを許さない」と投稿した。

南部での衝突は、イスラム主義勢力が14年近くに及ぶ内戦の末、昨年12月にバッシャール・アサド元大統領を追放して誕生した暫定指導者アフマド・アル・シャラーが直面する課題を浮き彫りにしている。

内戦前のドルーズ派人口は約70万人と推定され、その多くがスウェイダ県に集中している。

ベドウィンとドルーズ派はスウェイダで長年にわたり対立関係にあり、時折暴力的な衝突が起きている。

シリアでは3月、西部沿岸部で主にアラウィ派住民約1700人が殺害されたとされる事件のほか、ドルーズ派地域への攻撃や、6月に起きたダマスカスの教会襲撃事件などがあり、暫定政権による少数派保護への信頼は低下している。(c)AFP