労働者の権利、世界中で「深刻に後退」 報告書
このニュースをシェア
【6月2日 AFP】世界最大の労働組合組織「国際労働組合総連合(ITUC)」は2日、世界中で労働者の権利が「深刻に後退」しているとする年次報告書を発表した。団体交渉に対する妨害や、労組代表に対する攻撃が広がっていると指摘している。
ITUCの報告書は、国連(UN)や国際条約によって定められた97の指標に基づき、151か国における労働者の権利を評価した。
これによると、労働者の権利は特に欧州とアメリカ大陸で大幅に後退し、これら2地域では2014年の報告開始以来、最悪の結果となった。
また、87%の国でストライキ権が、80%の国で団体交渉権が侵害されていた。例えばフランスでは、団体協約のおよそ4割が、労働組合の代表を介さず雇用主によって一方的に締結されていた。
報告書は労組リーダーに対する「迫害」についても言及。「フランスでは、年金改革に対する大規模な抗議活動に関与したとして、労組リーダーと『労働総同盟(CGT)』の組合員1000人以上が刑事告発や懲戒処分に直面している」としている。
また今年に入り、南アフリカ、カメルーン、コロンビア、グアテマラ、ペルーの5か国で、労組の組合員や労働者が殺害されたと指摘した。
最高スコアを獲得したのは、ドイツ、スウェーデン、ノルウェーを含む7か国のみで、10年前の18か国から減少した。労働者の権利が改善された国はわずかだった。
ITUCのルク・トライアングル代表は「このペースで後退が続けば、10年後には労働者の権利を高水準で尊重する国は、世界に一つもなくなるだろう」と懸念する声明を発表した。(c)AFP