5000年前の古代パンを再現 温暖化対策にもヒント トルコ
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【5月27日 AFP】青銅器時代初期の紀元前3300年頃、現在のトルコに建てられた新居の下に一片のパンが埋められた。それから5000年以上の時を経て考古学者らが発掘したこのパンを、地元のパン工房が再現し、買い求める人々の行列ができている。
直径12センチ、パンケーキのように丸く平らなこのパンは、トルコ中部エスキシェヒル近郊にあるキュリュオバ遺跡で発見された。
考古学者のムラト・トゥルクテキ氏によると「発掘中に見つかった最古の焼きパン」で、形はほぼそのまま保たれている。
「発掘でパンが見つかるのは珍しい。通常はパンくずしか見つからない。しかし、ここでは焼け焦げたパンが埋まっていたため保存されていた」
パンは一部がちぎられた後に焼かれ、その後に住宅入口の下に埋められていた。トゥルクテキ氏は「豊穣の儀式が思い浮かぶ」と言う。
■現代風レシピを模索
2024年9月に発掘されたこのパンは、エスキシェヒル考古学博物館で展示されている。
同市のアイシェ・ウンルチェ市長は「発見に感動し、発掘責任者と話してパンを再現できるかどうか考えた」と語った。
分析の結果、パンの材料は古代小麦の一種、「エンマー小麦」の粗びき粉とレンズ豆の種で、酵母として何らかの植物の葉が使われていたことが分かった。
エンマー小麦の種は、トルコにはもう存在しない。元のレシピにできるだけ近づけるために、市ではエンマー小麦に品種が近いカビルカ小麦とブルグア(湯通しして乾燥させたひき割り小麦)、レンズ豆を使用することにした。
低価格でパンを提供する市営ベーカリー「ハルク・エクメク(トルコ語で「庶民のパン」の意)」では、毎日300個の「キュリュオバ遺跡パン」を手作りしている。
マネージャーのセラップ・ギュレル氏は「古代の小麦粉、レンズ豆、ブルグアを組み合わせたことで、栄養豊富で満腹感があり、低グルテンで保存料の要らないパンが生まれた」と述べた。
最初の遺跡パンは、1個300グラム、50トルコリラ(約180円)で販売され、数時間以内に完売した。