動画:南アフリカ「人類のゆりかご」の洞窟 一般公開を再開
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【4月18日 AFP】南アフリカ・ヨハネスブルクの北西50キロに位置するステルクフォンテイン洞窟で15日、約3年ぶりとなる一般公開が再び始まった。初期人類の骨格化石などが発見された一帯は「人類のゆりかご」とも呼ばれ、ユネスコの世界遺産にも登録されている。洞窟は洪水の影響を受けて閉鎖されていた。
2013年に発掘チームに加わったイトゥメレン・モレフェ氏(40)は、「私の目標はここで重要な骨を見つけることだ」と語る。自身にとってこれまでで最も印象深かった発見は、初期人類の手の骨だ。
モレフェ氏の父親は、南アの発掘物では最も有名な「リトルフット」と呼ばれる骨格化石がステルクフォンテイン洞窟で発見された時のチームの一員だった。
1990年代に発見された当初、その骨のサイズから「リトルフット」と命名された骨格化石は、これまでに見つかった初期人類の化石の中で最も完全な標本とされている。推定される年代は150万年から370万年前だ。
「リトル・フット」は、人類の祖先とされるアウストラロピテクス属の一種に分類されており、その名はラテン語で「南の猿」を意味する。アウストラロピテクスは、サルに似た特徴とヒトの特徴を併せ持っていたとされる。
取材を行ったこの日、発掘作業が行われている近くでは、ヘルメット姿の見学者たちが、鍾乳洞の天井から数百万年かけて垂れ下がった石灰岩に見入っていた。
洞窟内では青いLEDライトに照らされた約2.5キロの通路が続く。薄暗い通路の先は、地下の湖へと続いている。
洞窟内の発掘や付近にある博物館の運営を担っているウィットウォーターズランド大学の理学部長、ニタヤ・チェッティ教授は「この再公開は、人類の起源を伝える取り組みにおける大きな転機となる」と話し、「訪問者は生きた科学と研究にリアルタイムで接するという、またとない機会を得られる」と語った。
博物館では発掘された化石が一時的に展示されている。1947年に南アでアウストラロピテクス・アフリカヌスの頭蓋骨としてはほぼ完全な形で発見された「ミセス・プレス」を見ることもできる。
なお、オリジナルの「リトルフット」の展示については、9月に予定されている。 「リトルフット」の骨格標本は特別な機会にしか公開されず、発掘から組み立てまでに20年を要した。(c)AFP