【4月10日 AFP】国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは10日、米国がイエメンへの対外援助を大幅に削減したことにより、同国で深刻な人道危機が拡大する恐れがあると警告した。現在、イエメンでは人口の半数以上が生存のための支援を必要としている。

ドナルド・トランプ政権は1月、対外援助事業の見直しを理由に資金の提供を停止。その後、米国際開発庁(USAID)の事業のうち、実に83%が打ち切られることが発表された。

アムネスティは、米国が長年イエメン最大の人道支援国であったことから、援助削減によりイエメンの人道危機が深刻化しかねないと指摘。援助関係者によれば、栄養失調の子どもへの医療、妊産婦支援、その他の保護サービスが提供できなくなっているという。

さらに、暴力を受けた女性や少女を保護するための避難施設も数十か所が閉鎖されたと報告された。

アムネスティでイエメン問題を担当するディアラ・ハイダル氏は、「米国が突然かつ無責任に支援を打ち切ったことで、イエメンで最も弱い立場にある女性、少女、子ども、国内避難民らが壊滅的な影響を受けている」と述べ、「この決定が撤回されなければ、数百万人が必要不可欠な支援を受けられなくなる」と訴えた。

アムネスティによれば、米国はイエメン向け人道支援の約半分を担っており、2024年だけで7億6800万ドル(約1100億円)を拠出していた。

一方で、米政府は紅海におけるフーシ派の商船攻撃への対抗措置として、3月15日以降、同組織の拠点に対する空爆をほぼ毎日のように実施している。(c)AFP