【4月10日 AFP】エストニアのアラル・カリス大統領は9日、欧州連合(EU)域外出身の市民が地方選挙で投票することを禁止する憲法改正案に署名した。この動きはエストニアにいる多くのロシア系住民を対象としている。

改正案は3月26日に議会で賛成多数で可決された。背景には2022年のロシアによるウクライナへの全面侵攻以来、エストニアで安全保障に対する懸念が高まっていることがある。

大統領府は声明で「エストニア社会の統一を守るため」として、「第三国国民」の地方選挙への参加を禁止すると発表。一方で、この禁止措置の対象者に対し、社会から排除されたと考えたり、国家が「自分たちを安全保障上のリスクとしてしか見ていない」と思ったりしないよう求めた。

禁止措置は主に、1991年に旧ソ連から独立したエストニアに住む約8万人のロシア人に影響を与える。

これまでエストニアの永住者は国政選挙では投票できなかったが、地方選挙では投票する憲法上の権利を持っていた。

EUと北大西洋条約機構(NATO)の加盟国であるバルト3国とロシアの関係は、ロシアと西側諸国の間の緊張が高まる中で長らく悪化している。

エストニアとリトアニアにはロシア語話者が多く、両国政府と対立することもある。ロシアが分裂を利用して両国を不安定化させる可能性が懸念されている。(c)AFP