【11月21日 AFP】中国の前副首相から性的関係を強要されたと告発して以来、消息不明になっていた女子テニスの彭帥(Peng Shuai、中国)が21日、北京で行われたテニスの大会に姿を見せた。大会の公式SNSが写真を公開した。

 中国オープン(China Open 2021)の公式微博(ウェイボー、Weibo)アカウントに投稿された写真では、紺のジャケットに白のパンツ姿の彭が、ジュニアの大会に登場する姿が確認された。彭が公の場に姿を見せたのは、告発後では初めて。

 彭の所在に関する情報を求める国際社会の声が高まる中、同日には中国共産党機関紙・人民日報(People's Daily)系の環球時報(Global Times)で編集長を務める胡錫進(Hu Xijin)氏が、彭が元気に過ごしているとする動画を立て続けに投稿していた。

 胡氏がツイッター(Twitter)に投稿した大会の動画では、彭が何人かのゲストと共にスタジアムに立っている姿が映され、ゲストの名前がアナウンスされるたびに拍手の音も少し聞こえた。環球時報の別の記者がツイッターに投稿した動画では、彭は子どもたちのサインの求めに応じた後、一緒に記念撮影を行っている。

 胡氏は20日にも別の動画を2本投稿しており、コートとニット帽、マスクを着けた彭がレストランに入っていく様子と、マスクを外した彭が、周りの人たちと談笑しながら食事を取っている姿が映された。

 AFPは動画の真贋(しんがん)を確認できなかったが、胡氏は2本目の動画について、「彭帥がレストランでコーチ、友人と食事を取っている。動画の中身は明らかに、北京時間の20日に撮影されたものだ」と説明している。

 この動画について、女子テニス協会(WTA)のスティーブ・サイモン(Steve Simon)最高経営責任者(CEO)は、彭の姿を見られて「うれしい」と話しつつ、「これだけでは彼女が自由なのか、また強制されたり、外部からの干渉を受けたりせず、自分の行動を自分で決められるのかは不明だ」とコメント。「この動画だけでは不十分」と述べ、「こちらの要求は明確で、われわれと中国との関係は岐路を迎えている」と主張していた。

 彭の所在については、米英政府や国連(UN)など、テニス界の内外から情報を求める声が高まり、20日には男子テニスの重鎮ロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)も英スカイニューズ(Sky News)に対して「彼女はチャンピオンの一人で、元世界1位だ。間違いなく心配だ。無事を願っている」と話していた。

 中国政府は、この件に関するコメントを繰り返し拒否している。(c)AFP/Laurie CHEN