【6月21日 AFP】藻類から作られたドレスやバクテリア由来の染料、追跡可能な顔料の繊維への埋め込みなど、技術革新の波が訪れているファッション業界は今、環境への負荷をめぐるこれまでの悪評を払拭(ふっしょく)する絶好の機会を迎えている。

 ファッション業界の改革は急務だ。英エレン・マッカーサー財団(Ellen MacArthur Foundation)によると、同業界が消費する水は年間約930億立方メートルに上り、海洋に流出される合成繊維片(マイクロファイバー)は約50万トン。また、炭素排出量では世界の約10%を占めるという。

 変化を求める声が高まる中、独創的なアイデアが登場している。米ニューヨークのデザイナー、シャーロット・マッカーディ(Charlotte McCurdy)氏が手掛けた、藻類由来のレインコートもその一つだ。

 藻類から作られた光沢のあるプラスチックは、印象的な(そしてカーボンフリーの)衣服に用いられる。

 自らの仕事についてマッカーディ氏は、衣服の脱炭素化が可能であることを示す方法で、「これでもうけようとは思っていません。人々の心に種をまきたかっただけです」と語っている。

■バクテリア色

 オランダでは、デザイナーのラウラ・ルヒトマン(Laura Luchtman)氏とイルファ・シーベンハー(Ilfa Siebenhaar)氏が、衣料の染色工程における有害な化学物質および水の大量消費の削減に取り組んでいる。

 2人は、化学染色の代替手段を模索するプロジェクト「リビングカラー(Living Colour)」を立ち上げ、そこで意外な協力者を見つけた──バクテリアだ。

 一部の微生物には増殖しながら色素を放出するという特性がある。これを利用することで、衣服に鮮やかな色や柄を施すことができるのだ。

 マッカーディ氏と同様に、2人も大量生産には興味がない。

 以前はファストファッション業界で働いていたというルヒトマン氏は、「労働力の搾取や環境問題など、業界の負の側面を目の当たりにした」とし、事業を小規模にとどめたいとの考えを示している。