【8月28日 AFP】屋上庭園が新潮流となる中、カナダ・モントリオールに26日、世界最大の広さを誇る「屋上温室」が開業した。地元の食料需要を満たすため、ナスやトマトを栽培している。

 企業ルファ・ファームズ(Lufa Farms)が手掛けたこの温室は、1万5000平方メートル(サッカー場約3面分の規模)を誇る。野菜の有機栽培場所として同国第2の大都市とは、あまりない選択だ。

「食料を地元で、持続可能な方法で育てることが会社の使命です」。広報担当のティボー・ソレット(Thibault Sorret)さんは初収穫を迎える、大きく実ったナスを披露しながらAFPに語った。

 同社がモントリオールに設けた「屋上温室」は、今回で4か所目。最初に温室が設置されたのは、2011年だった。以来、新たなアイデアを取り入れながら、競合他社と共に奔走してきた。

 レバノン出身のモハメド・ヘーグ(Mohamed Hage)さんと米バーモント州出身のローレン・ラスメル(Lauren Rathmell)さん夫婦は2009年、「食料システムの改革」を志し、ルファ・ファームズを設立した。

 ルファ・ファームズの温室では水耕栽培が行われ、プランターにはココナツ繊維が並び、液体肥料が供給される。年間を通じて、レタスやキュウリ、ズッキーニやチンゲンサイ、セロリやモヤシなどの野菜と香草約100種類が育てられているという。

 温室では、マルハナバチが受粉を媒介する。また、ハチやテントウムシがアブラムシを抑制するので、殺虫剤を使用しないで済むという。

 毎週、2万世帯分を超える量の野菜が収穫できる。野菜の詰め合わせの基本価格は30カナダ・ドル(約2400円)。

 今回開業した温室の1階には売り場があり、2000品目近くが並ぶ。買い物に来たキャサリン・ボーニン(Catherine Bonin)さんは、新鮮さを気に入っていると話した。しかし、常に在庫切れの商品もあると嘆く。「ピーマンは手に入りません」 (c)AFP