【7月1日 AFP】新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)を経て、中国を世界一の大国と見なす欧米人が増加したことが、6月30日に公表された世論調査の結果で明らかになった。米国を世界一の大国と見なす回答が依然最も多かったが、その割合は減少している。

 米シンクタンクのドイツ・マーシャル基金(German Marshall Fund)が公表したフランス、ドイツ、米国における世論調査の結果によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行以降、中国の影響力に対する認識が著しく高まっている。

 この間、中国は一方では新型ウイルス流行の発生源として、他方では感染症対策の援助国として描かれてきた。

 今年1月と5月に行われた調査を比較すると、中国を世界で最も影響力のある大国だとする回答の割合は、フランスで13%から28%に、ドイツで12%から20%に、米国で6%から14%にそれぞれ増加した。

 ドイツ・マーシャル基金パリ事務所のマルタン・クエンセス(Martin Quencez)副所長は、「世界における中国の影響力は(コロナ)危機の前はやや抽象的な概念だった」が、「例えばマスクや医療物資一つとっても、中国への依存度を考えた時、非常に具体性をもった」と分析。

 同氏は、中国に対する認識の変化は世代や政治路線の違いを超えてみられるといい、今後も影響が持続すると予想。「危機に対する短期的な反応というよりも、もっと構造的なもののように思える」と指摘した。

 調査では、最も影響力が強い国を米国と答えた人々が、仏独米3か国すべてで依然最も多かったが、以前ほど圧倒的な多数ではなかった。

 フランスでは、米国を世界一の大国と見なす人々の割合は1月の67%から、5月には55%に落ち込んだ。ドイツでも同様の結果が報告された。

 この世論調査は、ドイツのベルテルスマン財団(Bertelsmann Foundation)と仏パリのモンテーニュ研究所(Institut Montaigne)が共同で実施し、各国で1月9~22日と5月11~19日の期間、それぞれ1000人超を対象に行われた。(c)AFP