これは、ジブラルタル海峡でスペインの救急隊のボートに乗り込んだ男性の写真である。この写真の説明には、「自称移民」が祈っている姿とあった。「自称」というのは、受け入れ国側に移民として認められなければ強制送還が待ち受けているのだろう。ボートで受け入れ国に到達することさえも大変であるにも関わらず、その先で自分が受け入れてもらえるかさえ分からない状況、ということを知り、この写真を選んだ。命がけで救急隊のボートに乗っても、膨らむのは移住先での夢ではなく不安という現実。平和な国に生まれた我々からは、想像もつかない彼の祈り。平和な世界はいつ訪れるのだろう、そして今私たちには何ができるのだろう。(ペンネーム:IS)

拓殖大学 移民セクション