【2月28日 AFP】海溝の最深部に生息する動物の消化管内にプラスチック片が蓄積していることが、27日発表された最新の研究結果で明らかになった。これは人為的な汚染が、地球の奥深くまで達していることを示している。

 プラスチックの年間生産量は3億トン以上に上っており、少なくとも5兆個のプラスチック片が海洋を漂っている。

 深海探査は多大な費用と時間を要するため、プラスチック汚染に関するこれまでの研究の大半は、表層部付近を対象としていた。そうした過去の研究では、魚、カメ、クジラ、海鳥などに広くプラスチック汚染が及んでいることが示されていた。

 英国のチームが行った今回の研究では、世界最深級の海溝6か所に生息する複数の小型のエビが、プラスチック片を摂取していたことが分かった。地球で最も深い海底凹地であるフィリピン東部のマリアナ海溝(Mariana Trench)では、調査を行ったすべての動物の消化管内からプラスチック繊維が発見された。

 英ニューカッスル大学(Newcastle University)自然環境科学部のアラン・ジェイミーソン(Alan Jamieson)氏は「何か見つかるかもしれないと半信半疑だったが、結果はすごいものだった」と話した。

 ジェイミーソン氏とチームは通常、深海域に生息する新種生物の探索を主に行っている。だが、過去10年間の探索の過程で、水深6000~1万1000メートルの深海に生息する小型エビの標本が多数蓄積されたことがきっかけとなり、深海部でのプラスチック汚染の状況を調べることにした。

 エビの標本90個体を解剖したところ、うち65個体(全体の約72%)に1個以上のプラスチック微小粒子が含まれていた。

 英国王立協会(Royal Society)のオンライン科学誌「ロイヤルソサエティー・オープンサイエンス(Royal Society Open Science)」に掲載された論文によると、これらのプラスチック微小粒子を摂取したのは深海部より水深が浅い場所にいた時で、死んで沈んだため深海部で発見されたのかどうかは不明だという。

「海中に今あるものはすべて最終的に沈んでいく。ひとたび深海に達したら、それを取り戻すための仕組みはどこにあるのだろうか」と、ジェイミーソン氏は問いかける。

「われわれは自分たちのあらゆるごみを、最も解明が進んでいない場所に積み上げ続けている」 (c)AFP/Patrick GALEY