【2月5日 AFP】北極、南極に次ぐ「第3の極」と呼ばれるヒマラヤ(Himalaya)山脈の氷河は、世界の温室効果ガス排出量が大幅に削減されない限り、2100年までにその3分の2が消滅する恐れがあるとする報告書が4日発表された。地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」が掲げた世界の平均気温上昇幅を1.5度に抑える目標が達成できても、ヒマラヤ山脈の氷河の3分の1が消滅する恐れがあるという。

 4日発表の報告書「Hindu Kush Himalaya Assessment(ヒンズークシ・ヒマラヤ地域アセスメント)」によると、ヒンズークシ・ヒマラヤ地域の氷河は、山脈地域に約2億5000万人と、そこから流れる川の流域に住む16億5000万人にとって死活的に重要な水源になっている。

 これらの氷河は、ガンジス川(Ganges)、インダス川(Indus)、黄河(Yellow River)、メコン川(Mekong)、エーヤワディー川(Ayeyarwaddy River)などを含み世界の河川系の中でも最重要とされている10河川系の水源となっており、数十億人に食料、エネルギー、新鮮な空気、そして収入を直接、間接的な形で提供している。氷河融解は大気汚染の悪化や異常気象の激化など、さまざまな影響を人間にもたらす。

 報告書は650ページで、ネパールの国際総合山岳開発センター(International Centre for Integrated Mountain DevelopmentICIMOD)が5年かけて作成した。研究者・政策専門家350人以上、185機関、執筆者210人、編集者20人、外部査読者125人が参加した。

 ICIMODのフィリップス・ウェスター(Philippus Wester)氏は、「地球温暖化は、非常に寒い氷河に覆われた8か国にまたがる(中略)山々の頂を、1世紀にも満たない間にむき出しの岩肌にしてしまう」と述べた。(c)AFP/Paavan MATHEMA