【1月4日 AFP】西暦1076年に中国南岸を大津波が襲い、「劇的な文化衰退」をもたらしたとする論文が科学誌「科学通報(Chinese Science Bulletin)」の今月号に掲載された。大津波はマニラ海溝(Manila Trench)での地震が原因で発生し、現在の広東(Guangdong)省に当たる地域に到達したとみられ、科学的な証拠も多数存在するという。

 論文の執筆に当たったのは中国科学技術大学(University of Science and Technology of China)と華東師範大学(East China Normal University)の研究者らで、将来の津波襲来への対策を急ぐよう警鐘を鳴らしている。

 研究チームは2013年、南シナ海の中央部に位置する東島(Dongdao Island)を巨大津波が襲った証拠を初めて発見。また、別のチームも津波堆積物の中から宗時代(960~1279年)の陶器の破片を発見し、研究者らはこれらを根拠に大津波の発生年を1076年と特定したという。

 中国南部沿岸周辺には香港やマカオ(Macau)といった大都市のほか、原子力発電所も複数位置しており、研究者らは津波に対する対策が十分かどうか、今後見直すべきだとしている。

 中国は昨年、マニラ海溝付近に津波監視ブイを設置し、津波発生の可能性に関するデータ収集に乗り出している。(c)AFP