【12月31日 AFP】フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領の元警護責任者で、警官になりすましてデモ参加者に暴行を加えた問題で8月に解雇されたアレクサンドル・ベナラ(Alexandre Benalla)容疑者が、解雇後も外交旅券を使用していた疑惑が浮上した。30日になってベナラ容疑者本人が、「私的な便宜」を得るためだったとその事実を認めた。

 昨年の大統領選挙期間中、ボディーガードの一人だったベナラ容疑者は、マクロン氏の大統領就任後に警護責任者に任命されていた。今年5月1日、メーデー(May Day)のデモ参加者らに対する暴行問題が7月に発覚して非難の的となって以降、スキャンダルの渦中に置かれている。

 先週、ベナラ容疑者が解雇後も2つの外交旅券を使用していた疑惑が浮上。外務省は犯罪行為だと指摘し、検察当局が29日、「背任」や公用身分証明書の不正使用などの容疑で予備捜査を開始した。

 地元メディアは、ベナラ容疑者がアフリカ諸国の大統領と面会したとも報じており、政府関係者らの間には、同容疑者がかつての内部関係者という地位を悪用しようとした恐れがあるとの見方もある。問題の報道を受けて、大統領府の対応にも批判が集まっている。

 これについてベナラ容疑者は、日曜紙ジュルナル・デュ・ディマンシュ(Le Journal du Dimanche)の取材に応じた。30日に公表されたインタビューの中で同容疑者は、個人旅行で外交旅券を使用したことを認め、外務省に「数日中に」返納する意向を示した。

 一方で、旅券は8月末にいったん返納しており、にもかかわらず10月になって「ある大統領側近」から他の私物と共に返却を受けたと明かし、「私の手元に戻された以上、使用を差し控える理由がないと考えた」と説明した。(c)AFP