【12月29日 AFP】ドイツ連邦軍の制服組トップ、エーベルハルト・ツォルン(Eberhard Zorn)連邦軍総監は27日、IT専門家や医師といった専門職を他の欧州連合(EU)加盟国から採用することを検討していると明らかにした。

 国家に忠誠を誓う国民ではなく「雇い兵」による軍を想起させることから論争を呼ぶとみられるこの案について、ツォルン総監は独フンケ・メディアグループ(Funke Mediengruppe)に対し、検討中の「一つの選択肢」だと述べた。

 報道によると、ツォルン総監は、ドイツの軍やその他の雇用主は専門的な技能を持つ人材が労働市場に少ないことに悩まされており、軍は「あらゆる可能性を検討する必要がある」とコメントしたという。AFPがドイツ連邦軍に問い合わせたところ、報道されたツォルン総監のコメントは事実だと返答があった。

 報道によると、ドイツは、EU加盟国のうち自国軍で雇用する外国人材を探しており、かつドイツと2国間協定を結んだ国からのみドイツ連邦軍の人員を採用する案などを検討しているという。ドイツはすでに、今回の提案についてEU加盟各国に打診したが、反応はさまざまだ。特に東欧諸国は、ドイツが高い報酬で優秀な専門家を横取りするのではないかと懸念している。

 2011年に徴兵制を事実上廃止したドイツは近年、連邦軍の人員採用で苦戦することがあり、伝統的メディアやソーシャルメディアを駆使した求人キャンペーンを行ってきた。

 ウルズラ・フォンデアライエン(Ursula von der Leyen)国防相は、現地紙ライニッシェ・ポスト(Rheinische Post)に対し、求人キャンペーンの結果、現在の連邦軍の人員は過去最低を記録した2年前より6500人多い18万2000人になったと述べ、2025年には20万3000人にまで増やすことを目指していると語った。

 ドイツが検討している連邦軍の新たな雇用策は、ドイツ国内に53万人いると推定される18~30歳のドイツ以外のEU加盟国出身者が対象になるとみられている。(c)AFP