【12月29日 AFP】イングランド・プレミアリーグのアーセナル(Arsenal)は28日、同クラブの会長を務め、当時無名だったアーセン・ベンゲル(Arsene Wenger)氏を監督に迎えたことで知られるピーター・ヒルウッド(Peter Hill-Wood)氏が亡くなったと発表した。82歳だった。

 銀行業でも成功を収めたヒルウッド氏は、1982年から2013年にかけ、祖父と父から引き継ぐ形でアーセナルの会長を務めた。同氏の在任期間中にアーセナルは、正反対のプレースタイルで2度の黄金期を送った。

 保守的な守備戦術を採用したジョージ・グラハム(George Graham)元監督の下では、1986年から1995年にかけて2度のリーグ制覇を果たし、FAカップ(FA Cup)やフットボールリーグカップ(England Football League Cup)、カップウィナーズカップ(UEFA Cup Winners' Cup)でもタイトルを獲得した。

 そして1996年、当時副会長だったデヴィッド・デイン(David Dein)氏がベンゲル氏の指揮官就任を推薦し、これをヒルウッド氏や他の役員が認めると、アーセナルは大変身を遂げた。ベンゲル氏はイングランドサッカー界に革命をもたらし、「インビンシブルズ」と呼ばれた2003-04シーズンを含めプレミアリーグ優勝を3度経験し、FAカップも4度制した。

 アーセナルは「ピーター・ヒルウッド元会長が、82歳でこの世を去ってしまったことを大変残念に思う」と発表。「1992年のプレミアリーグ創設に重要な役割を担ったピーターは、チームのピッチ上での成功に大きな誇りを持っていたが、ハイベリー(Highbury)からエミレーツ・スタジアム(Emirates Stadium)への移転といったピッチ外での成功についても、同じくらい誇らしく思っていた」と続けた。「クラブ史上最大の転換期において、スムーズな移転に中心的な役割を果たしてくれた」

「われわれは今季、100年連続で1部リーグに在籍したという史上初の快挙達成を祝うことになるが、ヒルウッド一家はこの特別な100年間における最大の功労者だ」「(100年連続での1部残留は)長きにわたりイングランドサッカーの強豪としてい続けられるようにしてくれた、彼らの尽力と決断の証しだ」「ピーターと彼の一家がクラブに与えた影響は計り知れない」 (c)AFP