【12月12日 AFP】フランスの反政府デモ「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト、gilets jaunes)」運動をめぐり、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領(40)が10日に国民向けに行った演説を受け、デモ参加者らの多くが翌11日、抗議行動を続行することを誓った。

 マクロン大統領は10日夜の演説で、最低賃金の引き上げや定年退職者らに対する増税策の撤回、残業関連の税の廃止といった一連の措置を発表。デモ隊が大統領から引き出したこの譲歩策により、政権には110億ユーロ(約1兆4100億円)の負担が発生する見通しだ。

 大統領就任以降最も深刻な危機に直面している中道派のマクロン氏には、これらの「アメ」により、過去3週間街頭に出て怒りを表明してきた地方部や小規模な町に暮らす低所得者層をなだめたいという狙いがある。

 230万人が視聴したこの13分間の大統領演説の直後に行われた世論調査によると、「黄色いベスト」運動に対する支持は急落。一方で、国民の約半数がデモの続行を望んでいることが明らかになった。

 同国中部サンテティエンヌ(Saint-Etienne)でデモに加わった建設作業員の男性は、「われわれが成し遂げたことに喜んでいる。3週間で彼(マクロン氏)を屈服させた」と一定の満足感を示しながらも、「扉を押し開けた、だがそれで十分ではない」と語った。

 マクロン氏がさらなる譲歩を迫られるかどうかは、デモが再び呼び掛けられている15日次第となる可能性がある。政府は、さらなる暴力行為の回避を目指している。(c)AFP/Joseph Schmid