【11月29日 AFP】(写真追加)中国人の著名な報道写真家、盧広(Lu Guang)氏が今月、中国の新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)を訪れた後、連絡が取れなくなっている。妻は知人から盧氏が治安当局に拘束されたと伝えられたとし、一刻も早い解放を訴えている。

 新疆ウイグル自治区をめぐっては、100万人規模のウイグル人らが強制収容所に入れられて拷問や虐待を受けているとして国際的な非難が高まっている。自治区内には警察などが厳重な警備を敷いている。

 消息を絶った米在住の盧氏は25年にわたって、中国での産業汚染や労働者への虐待、エイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)がまん延した村、アフリカへの木材密輸など、中国の経済発展と社会変化の暗黒面を浮き彫りにする問題をカメラに収めてきた。世界報道写真展(World Press Photo)などで数多くの受賞歴がある。

 ニューヨークに住む妻の徐小莉(Xu Xiaoli)さんによると、盧氏は今月、地元の写真家との交流や指導のため、観光客としてウイグル自治区を訪れた。しかし、3日夜に区都ウルムチ(Urumqi)からあった連絡を最後に音信不通になった。

 徐さんのツイッター(Twitter)への投稿によると、盧氏は今月5日、自治区から四川(Sichuan)省に移動し、友人と落ち合う計画だったが、この友人は盧氏と会うことができなかった。

 徐さんは友人から、盧氏が治安当局に拘束され、自治区内にある古都カシュガル(Kashgar)に連行されたと聞いた。盧氏の故郷である浙江(Zhejiang)省永康(Yongkang)市の当局も、徐さんに拘束・連行は事実だと認めたという。

 徐さんは「心配でたまらない。一刻も早く夫が無事に帰宅することを願っている!」とツイートしている。

 徐さんはAFPの取材に対し「新しい情報は何もない」「夫が新疆を訪れるのは今回が初めてだった」と語った。

■米大使館「強く非難」

 北京の米国大使館はAFPへの回答で、盧氏が中国の治安当局に拘束されたという話を「深く憂慮している」と表明。「米国は人権侵害が深刻化している中国を強く非難する」と述べた。

 永康市の警察当局はAFPの取材に盧氏をめぐる現在の状況は分からないと答えた。AFPはウイグル自治区の対外宣伝当局にも取材を試みたが、回答は得られなかった。カシュガルの警察当局にも電話取材を試みたが、AFPからだと分かるとすぐに電話を切られた。(c)AFP